民団新聞 MINDAN
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南北首脳会談の成功受け

民団中央、総連との和合を提議
声明文も発表



記者会見の席で朝鮮総連との
対話を提議した民団中央の金宰淑団長(中央)
朴性祐・平和統一推進委員長
(左)、黄迎満・事務総長(右)

 南北首脳会談が成功裏に終わったことを受け、民団中央本部の金宰淑団長、朴性祐・平和統一推進委員会委員長、黄迎満事務総長は15日、記者会見を開き、首脳会談を高く評価する声明書(別掲)と朝鮮総連(総連)との和合を図る提議書を内外に発表した。

 記者会見場には日本、韓国、在日同胞の報道機関24社が駆けつけ、韓半島の「雪解け」に伴う民団、総連の対話、交流の行方に深い関心を示した。

 金団長は「共同宣言」に盛られた5項目について、「実現するように在日同胞として側面的に支援したい」と語った。また、所属団体の違いから自分の故郷を訪ねることができない在日同胞の「離散家族」の再会問題に関連し、91年の世界卓球選手権を共同応援した際に民団が提起した南北相互訪問を再提起する考えを明らかにした。

 首脳会談の好影響を受け、民団地方本部や傘下団体が総連および傘下団体と共同会見を持つ可能性では、「大いに歓迎する」と明らかにした。北韓と日本の国交交渉が早まる見通しについても好意的に受け止める姿勢を示した。

 一方、総連との間で共同声明が出せなかった理由を問う声に、総連との実質的な窓口を受け持つ朴委員長は「時間的な制約」を挙げながら、「今後誠意を持って無条件に虚心坦懐に行いたい」と、祖国の統一と在日同胞の利益のために、功名心ではない信頼関係を土台に進めると答えた。

 総連と見解が違う地方参政権問題について、金団長は「スタンスが違うデリケートな問題を相手に押しつけられない」と述べながら、「参政権が協議のネックになるとは思わない。互いの主張を認め合うことが大事だ」と話し合いが前提だと強調した。黄事務総長は生活者団体との民団の性格規定を鮮明にした。

 病状が心配されている総連中央本部の韓徳銖議長を見舞う可能性について朴委員長は、「両団体が分裂する以前は、苦楽をともにした同士。人道的見地から総連と話し合って決めたい」と話した。

 この日、発表された提議書は、総連と協議して近日中に直接伝達する考えだ。


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民団中央本部の声明全文

統一促進へ全同胞が参与を

 祖国の平和的な統一を熱望してきた我々在日同胞七十万人は、平壌での金大中大統領と金正日国防委員長による歴史的な対面と会談を胸一杯の感激の思いで見守った。

 南北首脳は分断55年の壁を崩し、反目と怨恨によって途絶えた同族の愛情を呼び覚まし、和解と協力を土台に、新たな交流の橋を架け、祖国半島の平和定着と統一への大路を大きく切り開いた。

 我々は画期的な南北首脳会談の成功を双手をあげて熱烈に支持するとともに、南北首脳が成し遂げた成果をゆるぎないものにし、祖国半島の平和を強固にしながら、統一の促進へ70万在日同胞の力を合わせ、参与したい。

 我々はまた、分断祖国55年の歴史とともに分裂と対立を繰り返してきた在日同胞社会も今や、和合と統一に向けて前進する時がきたと確信する。

 我々は在日同胞社会の現実的な問題と将来の同胞統一問題を解決するために、同胞愛と南北共同宣言の精神に従い、朝鮮総聯と誠実に対話していく用意があることを明らかにする。

 これこそ南北首脳会談を契機に民族の一員として取り組む在日同胞の歴史的責務といえる。

 我々は今回の首脳会談に全民族の命運をかけて臨んだ金大中大統領と金正日国防委員長の勇断を高く評価し、在日同胞としての新たな決意を誓うものである。


2000年6月15日

在日本大韓民国民団中央本部

団長 金宰淑


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朝鮮総連に対する民団の提議書全文

 金大中大統領と金正日国防委員長による歴史的な首脳会談は、我々70万在日同胞に大きな感動を与えました。この度の首脳会談によって南北間の平和定着と和解、そして協力のもとに南北交流が着実に進められ、統一が一日も早く訪れることを念願します。

 とくに、この歴史的な首脳会談の成果を具体的に実現するためには、なによりも団結された在日同胞の力が切実に要求されます。

 このような意味からも祖国分断の歴史とともに分裂と対立を重ねてきた我々在日同胞社会も、今や力を合わせ同胞社会の和合と団結、そして統一を目指すべき時期に至りました。

 今日、私は南北首脳会談を在日同胞社会の和合と団結の画期的な契機とし、この度の共同宣言の精神に則り祖国の平和統一に寄与することはもちろん、21世紀の同胞社会の統一実現に向け、朝鮮総聯となんら条件なしに虚心坦懐に対話と交流を行っていくことを提議する次第であります。

 我々は去る91年、世界卓球選手権大会で貴組織とともに南北単一選手団を同胞愛で歓迎し、応援し、歓送をした歴史的な経験があります。

 これらを土台に今後の対話のために、まず我々側代表が貴組織の中央を訪問し、今後の対話と交流の内容、対話の方法と手続きを協議できればと思います。

 私のこのような提議は全同胞の願望を反映したものであり、在日同胞の立場に立ち肯定的に受け入れて下さることを切に望みながら早急な回答を期待する次第であります。


2000年6月15日

在日本大韓民国民団中央本部

団長 金宰淑

(2000.06.16 民団新聞)



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