民団新聞 MINDAN
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急進展する南北スポーツ交流

各競技で統一チーム結成の動き



■□
シドニー五輪、同時入場
共同応援・合同訓練も

 南北首脳会談で共同宣言が署名されたことを受け、各分野ごとに韓国側の推進項目をまとめた文書が15日発表され、スポーツ分野では韓日が共同開催するサッカーの2002年ワールドカップ(W杯)における韓国開催分の北韓分散開催と統一チーム結成を目指すことが明記された。

 このほか9月のシドニー五輪開会式での南北同時入場行進を推進、来年の世界卓球選手権(大阪市)での統一チーム結成、再来年の釜山アジア大会への北韓の参加も推進項目に含まれた。

 サッカーではさらに、ソウルと平壌で開催される「京平サッカー」、または「南北統一サッカー」の復活を推進することも文言として示された。

 南北首脳会談には韓国のスポーツ界から、大韓オリンピック委員会(KOC)の金雲竜会長(国際オリンピック委員会=IOC=理事)、大韓サッカー協会の鄭夢準会長(国際サッカー連盟=FIFA=副会長)が代表団の一員として随行。北韓のスポーツ関係者と会談し、実現に向けて肯定的な反応を得た。

 これらの事項についてはIOC、各国際競技連盟(IF)が実現に前向きな姿勢を示していることに加え、今回両国首脳による合意を得たことでスポーツ分野の南北交流が一気に進展しそうだ。


■□鄭夢準サッカー協会長■□

アジアカップで統一チーム
「京平戦」を復活、W杯の北分散開催も

 金大中大統領に随行して北韓を訪れた大韓サッカー協会の鄭夢準会長は16日、今年10月のアジアカップ(レバノン)で南北統一チームを結成する問題で、北韓側から「実践に移すことに何の問題もない」との回答を得たことを明らかにした。

 韓国の聯合ニュースによると、鄭会長がソウルで開いた記者団との懇談会の席で述べたもので、北韓はサッカー問題にかなりの関心を持っており、アジアカップでの統一チーム結成とソウル・平壌サッカー定期戦(京平戦)の復活―などで妥結する可能性が極めて大きくなったことを明かした。

 一方、大韓サッカー協会は16日、緊急会議を招集し、呉完建副会長を北韓との実務会談の責任者に任命するなど、北側との協議準備に着手した。

 同協会は韓国政府との協議が終わり次第、北韓側に書簡を送り、北京または平壌で実務会談を開きたい意向。その席で統一チーム結成や、韓日が共催する2002年ワールドカップ(W杯)の北韓での分散開催を提案する予定という。

 また、W杯の北側分散開催が実現した場合は、十五万人を収容する平壌の「五・一競技場」を使用できるよう北韓側に提案し、FIFAとも緊密な協力関係を維持することを決めた。


■□朴世直KOWOC委員長■□

2002W杯統一チーム
実現の可能性高い

 サッカーの2002年ワールドカップ(W杯)韓国組織委員会の朴世直委員長は16日、横浜市で開催された韓日W杯開催自治体首長会議終了後、記者会見し、南北首脳会談で韓国側が「2002年W杯における韓国開催分のうちの2試合平壌実施と統一チーム結成」を提案したことを明らかにし、実現に向けて努力したいと強調した。

 朴委員長は「2002年大会では韓国と北韓の統一チームを結成し、韓国で予定される32試合のうち、2試合を平壌で行いたい。統一チーム実現の可能性は高い」と語った。

 この問題では、韓国、北韓、日本、国際サッカー連盟(FIFA)の4者で協議する可能性も示した。

 朴会長は「統一チームの結成は1990年代に経験を積んでいる」と実現の可能性が高いことを説明。「分散開催は実務的に課題があるが、実現に向けて最善を尽くしたい」と話した。

 また、「必要があれば、韓国と北韓だけではなく、国際サッカー連盟や日本の代表が集まり、具体的に議論することも可能ではないか」と話した。

 韓国と北韓は1991年にポルトガルで開催されたサッカーの世界ユース選手権で統一チームを結成して臨み、ベスト8に食い込んだ例がある。

 国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長は先に、「北側との分散開催問題は韓国での実施試合分を北側に回す『韓国内の問題』」と述べており、南北間の協議がまとまった場合はこれを支援する認識を示している。


■□金雲竜KOC会長■□

「コリア」チームふたたび
来年大阪の世界卓球で統一チーム

 韓国オリンピック委員会(KOC)の金雲竜会長は15日、「シドニー五輪(開会式)で南北選手団が同時に入場する案に事実上合意した」と語った。

 金会長は平壌で開かれた南北首脳会談に代表団の一員として随行。北韓側と会談し、この日帰国した。

 金会長は同五輪で「南北共同応援、共同訓練も実現するだろう」とも付け加え、来年の世界卓球選手権(大阪市)での統一チーム結成の可能性が高いことも指摘。その理由に、北韓側の張雄IOC委員の肯定的な反応を挙げた。

 金会長はまた、北韓の金正日国防委員長から「南北で統一チームをつくれば、最も戦力が強まる競技は何なのか」との質問があったことを明らかにした。

(2000.06.21 民団新聞)



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