民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
同胞社会の一大転機にしよう

−南北首脳会談成功をふまえて−



 韓半島分断後、55年にして初めて実現した南北首脳会談で金大中大統領と金正日国防委員長は、「和解と協力」時代の始まりを期待させる5項目からなる「南北共同宣言」に署名しました。金国防委員長の「適切な時期のソウル訪問」も明らかにしています。


■「共同宣言」誠実履行への期待

 南北間では、これまでに2度、「統一推進のための和解と協力推進」をうたった文書に合意・発表しています。72年の「7・4南北共同声明」と92年発効の「南北基本合意書」(南北間の和解と不可侵および交流協力に関する合意書)です。しかし、いずれも、その後2年もたたず対話が途切れ、宙に浮いてしまいました。南北同胞および海外同胞を深く失望させたことは、まだ記憶に新しいものです。

 それにもかかわらず今回の「南北共同宣言」を評価、今後の進展に期待を寄せるのは、双方の最高首脳が直接会い、率直な対話を行ったうえで確認した初めての合意であり、過去の合意をはるかに超える重みを持つからです。それ以上に、なによりも南北間の和解・協力をつうじての平和的・自主的・民主的統一の推進を切望するがためです。

 3度目の正直といいますが、今度こそ共同宣言の内容が誠実・確実に実行され、内外7000万同胞の熱い期待に応えることが、南北首脳に望まれています。両首脳が笑顔で握手する光景はテレビの生中継で世界中に流れました。南北当局間対話が開始され、「合意」が実践されることによって、南北の関係改善が本格的に進むかどうか世界も注視しています。

 われわれ在日同胞も、歴史的な南北首脳会談の成果をゆるぎないものとするため、積極的に行動することを求められています。祖国分断の歴史とともに分裂と対立を重ねてきた在日同胞社会も、いまや力を合わせ同胞社会の和合と団結、そして統一を目指す絶好の機会を迎えました。この好機を逃のがすようなことがあっては絶対になりません。

■和合と交流実現し役割遂行を

 民団は、南北首脳会談を高く評価して15日に発表した「声明書」で「在日同胞社会の現実的問題と将来の同胞統一問題を解決する」ため「同胞愛と南北共同宣言の精神」にしたがい朝鮮総連と誠実に対話していく用意があることを強調しました。同時に明らかにした「朝鮮総連に対する提議書」では「なんら条件なしに虚心坦懐に対話と交流を行っていく」ことを明言、その実現のための協議開始を呼びかけました。

 民団と総連は91年、日本・千葉で開かれた世界卓球選手権大会で共同して南北単一選手団を歓迎、応援、歓送した経験もあります。金宰淑・民団中央団長は15日の記者会見で、所属団体の違いから自分の故郷を訪ねることのできない在日同胞の「離散家族」の再会問題に関連して、千葉世界卓球選手権の時に民団が提起した南北相互訪問を再提起する考えを表明しています。

 祖国南北の和解と協力、在日同胞社会の団結・統一に向けての民団と総連の和合と交流の推進は、全同胞のかねてからの願望でもあります。いまこそ、民団と総連は祖国と同胞社会の将来のための「虚心坦懐」な対話を開始、自らの役割を果さなければなりません。

 今回の民団の呼びかけに、総連が速やかに応じるよう望んでやみません。

(2000.06.21 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ