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「金泳三前大統領の日本語」



 「サンデープロジェクト 北朝鮮の真の狙いとは 金泳三前大統領生直撃」(テレビ朝日)のタイトルにつられて思わずテレビのチャンネルを回した。6月25日、日曜日の午前中のことだった。だが、見ているうちに、やるせなくなってきた。

 金前大統領は日本語で応じるべきではなかった。韓国語で答えるべきだった。うまいとは、とても思えない外国語で、自分の考え、思いを十分に相手に伝えることは難しい。

 隣国でありながらも南北関係や分断の歴史をほとんど知らない普通の日本人視聴者のための番組である。しかも短い時間の中で、進行役でもある質問者には、せっつかれるという悪条件のもとではなおさらだ。

 「韓国の前職大統領といっても大したことない。この程度のものいいしかできないのか」と多くの視聴者に思わせたのではないか…。金前大統領のファンではないにもかかわらず、はらはら、いらいらしどおしであった。

 「南北の統一は損か得か。どちらだと考えているのか。得でなければしないほうがいいのではないか」との趣旨の短絡的な質問に、金前大統領には、せめて次のように答えてほしかった。

 「統一問題は、当面の損得勘定だけで割り切れるものではない。私たちは自らの責任や意思により南北に分断されたのではない。双方の住民は分断の恒久化を望んでいない。時間がかかろうとも、交流・協力をつうじた相互信頼の基礎の上で、主権者の自由な意思表明に基づく平和的・民主的統一が望ましい」

 なお、「『南北共同宣言』で金正日(国防委員長)さんは世界の英雄になった」との質問者の発言(認識)に驚いたのは、私一人だけではなかっただろう。(Y)

(2000.07.05 民団新聞)



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