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要路訪問で本国との紐帯強化へ



 今年3月の中央大会で選出された金宰淑団長をはじめとした新任三機関長らは、就任後初の本国要路礼訪(訪問)団を構成し、6月27日から4日間、韓国の省庁や政党、報道機関など24カ所を精力的に回りました。これは、21世紀に対応する民団の新たな出発を本国の各界各層に鮮明にすることを第一義に、歴史的な南北首脳会談の成功を導いた金大中大統領に敬意を表し、本国の関係各部署との協議の中で今後も韓半島の平和定着と南北統一に向け在日同胞の役割を確認しながら、在日同胞社会の求心体である民団に対する理解と継続支援を求めたものです。


■在日同胞の和合に向けて

 本国との絆を確かめ、有機的な関係をさらに深化させようとする民団の訪問団に対して、首脳会談の成功に沸く本国の各部署では、南北韓の「雪解け」に伴い、在日同胞社会を二分してきた民団と朝鮮総連(総連)の和合を期待する声が強くありました。

 金大中大統領は「海外同胞のうちで在日同胞ほど受難の歴史に翻弄された同胞はいない」と述べながら、「金正日国防委員長が首脳会談を契機に世界の人々の前に登場したのは、北韓の大きな変化の基礎になった。在日同胞が南北それぞれを個別に見るのではなく、民族全体の発展のために声援と協力をしてほしい」と語りました。

 これに対して、金団長は「南北共同宣言」を受けて開いた記者会見で、総連に対して対話と交流を促す提議書を発表したことを報告し、在日同胞社会の和合に向けて地道な努力を続けていくことを約束しました。二、三世代が主流となった在日同胞社会に、これ以上20世紀の冷戦構造がもたらした民族の分裂状態を放置してはならないと判断したからです。


■21世紀の在日社会に備え

 金団長ら一行は訪問した先々で、民団のこれまでの本国への貢献について大統領をはじめ理解を得られたものと確信しつつも、在日同胞に対する基本的な認識が希薄化している現状に憂慮を表明しました。本国投資や在日同胞が出資して設立した新韓銀行などの経済活動を保障、育成することを訴えながら、五百五十万の海外同胞の中で唯一韓国籍を保持する在日韓国人を在外同胞の枠でひとくくりにせず、本国と歩調を合わせていく在外国民として処遇し、在日同胞社会の維持・発展のために継続支援するよう強く求めました。

 民団を取り巻く状況は日々変化していますが、民団は在日同胞の生活者団体という基本性格を土台に、今後は総連同胞との和合や韓半島にルーツをもつ帰化同胞とのネットワークを積極的に構築していきます。また、地域社会に貢献する手段として地方参政権の獲得や2002年の韓日共催サッカーワールドカップ(W杯)を支援する立場から日本との友好関係をより成熟したものに昇華させていく必要があります。

 さらに、在外国民の一員として本国の平和統一や韓日交流に尽くす一定の責任を思えば、いかに世代交代が進もうとも本国との絆を風化させるわけにはいきません。

 このように、在日、日本、本国を視野に入れた活動の展開が課せられている民団は、これまでの過去半世紀以上の実績を担保に、これからも在外国民として本国の「国民の政府」と歩調を合わせながらも、21世紀のビジョンを内外に示し、在日同胞の将来に責任を持ち、その社会を牽引する使命を帯びています。今回の訪問団は民団の方向性を再認識する大きな契機になりました。

(2000.07.05 民団新聞)



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