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「本物の味」の行方



 昨年5月の発刊以降、大ベストセラーとなった「買ってはいけない」。出版されて早々、タイトルに惹かれて購入した。同書は「食べもの」「化粧品」「くすり」など6項目にわたる全89商品を取り上げている。

 例えば「食べもの」で紹介されている23品。普段、私もあなたも「美味しい〜」と頬張っている食品に大量の「食品添加物」がお手軽に使用されている。調味料(アミノ酸)、着色料、保存料、乳化剤。読み進むうち、身体に及ぼす多大な影響に驚いた。

 今秋、国際食品規格委員会(CODEX)で、かねてから「キムチ」をめぐり韓日間で議論されてきた「キムチの国際規格」が決定される。添加物を用いず、自然発酵によって深い味わいを醸す韓国キムチ。一方、発酵を伴わず添加物によって「キムチっぽい」味の日本の朝漬けキムチが「キムチ」として認知されることに危惧を抱く在日同胞は多い。

 以前、キムチの国際規格関連の取材を在日の韓国料理研究家、在日業者、日本業者などを対象に行った。キムチ作りに全霊を注ぐ研究家は「キムチは自然発酵が命。添加物などは使用しないほうがおいしい」と力説した。

 また、添加物の長期摂取がどれほど人体に害を及ぼすのかも危惧していた。韓国キムチにちかづこうと添加物使用を極力控える努力を重ねる日本の業者もある。キムチブームに便乗して新商品が続々と生み出される一方で、伝統の食文化を守ろうとする在日たち。

 9月に東京で「キムチサミット」が開催されることになった。栄養面、健康面に秀でる「キムチ」の素晴らしさを再認識する最後の機会かも知れない。(U)

(2000.07.12 民団新聞)



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