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総連中央は対話のテーブルに



 世界の耳目を集めた南北首脳会談から一カ月が過ぎました。分断以来、初めての南北首脳会談によって祖国では「対立から和解」へ、「分断から統一」への大きな道が切り開かれたのです。

 共同宣言によって合意された事項のうち、離散家族相互訪問の準備などは順調に進んでいるようです。常に祖国の平和と発展を願っている在日同胞の立場から、一連の動きは実に喜ばしい限りです。

 在日同胞社会では今もまだ熱気が冷めやりません。会談を契機にして民団の地方本部、支部からは朝鮮総連との交流の予定や結果の報告が続々と入ってきています。


◆同胞どうし所属超えて握手

 民団はこれまでも朝鮮総連と組織的に交流していくことを、活動方針の大きな柱のひとつとして打ち出してきました。最近の動きに対しても大いにこれを奨励し、積極的に対応していくつもりです。

 周知のように、在日同胞社会では民団と朝鮮総連が長い間鋭く対立してきました。東西冷戦と南北分断の影響を強く受け、時には尊い人命までも犠牲にしながら激しい抗争を繰り返してきたものです。

 そのために両組織の間には相互不信が根強くあるのも事実です。相手方に対する不信感は想像以上に強く、感情の溝も相当に深いものになっています。

 一方で、在日同胞は民団系であると朝鮮総連系であるとを問わず、同じ歴史的背景と居住経過を持つ者同士でもあり、地域社会では互いに日常的に顔を合わせ気軽に挨拶を交わせる同胞でもあるのです。

 「対立する顔」と「共存する顔」とが両立するという、実に悲しい現実が同胞社会に横たわっています。

 しかしながら、所属する組織によって立場が違うからと言って同胞としての情愛がなくなるものではありません。一歩組織を離れれば私たちはいつでも笑顔で握手が交わせる者同士なのです。


◆交流の流れ加速化させよう

 首脳同士が劇的な顔合わせをしたこの機に、私たちは改めて同胞同士の情愛を確認すると同時に、同胞社会の統合に向けた動きを強めていこうではありませんか。

 民団と朝鮮総連は、九一年に千葉市で行われた世界卓球選手権大会のあとの数年間、各地で活発に交流を行ってきた経験を持っています。

 その後、民団が進める地方参政権運動に対する意見の違いから交流事業も途絶えがちになりましたが、それでも民団の提起によって少数の地方でねばり強く交流が続けられているのも事実であります。

 民団では南北首脳会談を能動的に捉え、同胞社会の交流と和解の決定的な契機としたいと考えています。

 南北首脳は分断の壁を越え、五十五年という気の遠くなりそうな長い時間の壁を乗り越えて初めて会ったのです。日本社会で苦しい時代を同じく過ごしてきた民団と朝鮮総連の幹部同士が、直接会って話し合えないはずがありません。

 なんらかの前提条件を付ける必要はまったくありません。直接会って互いの近況や共通の関心事について語り合い、もしも共同で対処できるようなことがあれば協力しあえばよいのです。

 全国に強力な組織網を持つ民団と朝鮮総連に対しては、活発化した各地の交流の流れをより広範に、より加速化させていくことが求められています。

 在日同胞社会でも真の意味で「対立から和合」へと進む時期が来たのです。

(2000.7.19 民団新聞)



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