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「本物のキムチ」巡って

9月にサミット
2次発酵させないキムチに表示を



 日本でキムチの消費量が急上昇する中、二次発酵させない添加物入りのキムチに危惧する在日同胞らが「本物のキムチ」をめぐって九月中旬にもキムチサミットを開催する。

 サミットは、現在キムチの国際規格を定めようとしている国際食品企画委員会(CODEX)の地域開発部会アジア部会(9月)と来年の総会をにらんで開かれる。現在までに韓日両国が合意している内容のまま総会を通過すれば、本物でないものがキムチとして認定されてしまう。この動きに危惧した、韓国から食材などの輸入販売に当たる韓国食品協議会(金永悦会長)と焼き肉の普及を目指す月刊誌『焼肉文化』を発刊する朴健市社長らが企画した。

 韓国のキムチ学者や韓日の発酵学者、無添加食品をすすめる生活協同組合などが集まり、キムチの定義付けをする。

 この間の韓日両国では、▽発酵海産物(塩辛など)は任意の材料とする▽食品添加物を認める▽乳酸、クエン酸の添加を認定▽パプリカでの色づけ▽醤油の使用―の5項目で合意しているが、添加物や醤油はいずれも韓国では使用していない。

 日本の大手メーカーでは漬け込み原料、調味料として12種類以上の添加物を使用しているものもあるという。合意内容の添加物のうち乳酸とクエン酸、糊料は自然発酵させない日本型キムチの発酵を装うためのものであり、自然発酵によるうま味が出ないため味付けとしてしょうゆを使うことを目的としている。

 これに異論を唱える2人は、業者保護という日本の商業ベースの意見が通ってしまったことを意味すると指摘する。2次発酵させて乳酸菌がたっぷりはいったキムチが本物だと強調する。また、日本型の浅漬けキムチを全く認めないのではなく、2次発酵させていないものには「キムチ風味」など消費者が明確に区別できるようにすべきだという。

 CODEX企画は、出席国の全会一致が原則で、1カ国でも反対があれば再び調整が図られることになる。しかし、韓国側が日本と合意しているために総会通過もあり得るという。

 この間、韓国側の情報収集を進める中で2人は、韓国国内でもキムチ規格制定の情報が少なく、専門家でさえも事実を知らない状況だという。このために世論も盛り上がっていないと指摘する。

 「文化侵略」とまで言う日本の発酵学者や「伝統を売るのか」という良心的製造業者の声も含めて、「キムチとは」を問う。サミットは、本国の世論喚起も考えて、ソウルで開催することも計画している。


◆日本国内製造のキムチ
 25万トンに急増

 日本でのキムチ生産量が前年を40%近く上回る25万トンを突破し、日本の漬け物生産量のトップに躍り出た。

 社団法人食品需給研究センターによると、昨年1年間に日本国内で生産されたキムチは25万93トンで、前年の39・3%の大幅増となった。タクワンや梅干しなど日本で生産される漬け物のうちキムチが占める割合は21%を超え、昨年の2位からトップとなった。

 一方、韓国からの輸入キムチも前年度の1万5015トンを42%上回る2万1394トンと急上昇し、2万トンの大台を超えた。

 2年前からのトウガラシ・ブームと健康食品ブームによるところが大きいと言うが、すっかり日本の家庭の定番となったようだ。

(2000.7.19 民団新聞)



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