民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
「地方選挙権」3党合意履行を



 公明・保守の与党2党が「永住外国人への地方選挙権付与法案」を5日、国会に再提出しました。同日、民主党も野党単独で法案を再提出しました。

 これはそれまで審議途中であった地方参政権法案が、6月2日の衆議院解散によって廃案になったため、本団の要望によって再度提出されたものです。


■これ以上先送りすべきでない

 このたびの法案再提出において、前回与党から出されていた、「朝鮮籍の者を当分間除外する」項目は削除されています。

 これは在日同胞全体の権益擁護の立場から本団が求めていたものです。提出与党においても南北首脳会談の良好な推移や、朝・日国交正常化交渉の展望も視野に入れての判断と見られます。

 これまで地方参政権法案は国会において昨年8月と今年5月の二度審議されています。昨年は野党から出された法案として、今年は与党から出された法案として審議されたもので、ある有力議員の言うとおり、外国人住民の地方参政権の立法化について日本の国会で審議されたこと自体、「歴史的に意義のあること」でありました。

 今回、自民党を含めた与党3党で提出する直前までいったのに、自民党の一部に反発があり、結局また公明・保守2党だけの提出になったことは遺憾といわざるを得ません。自民党は、永住外国人の地方選挙権を「成立させる」という連立与党3党の合意事項をきちんと順守すべきであり、これ以上先送りすべきではありません。

 在日韓国人の処遇については、98年10月、金大中大統領訪日時の韓日共同宣言で、「在日韓国人は、日韓両国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担い得るとの認識に立ち、その地位の向上のため、引き続き両国間の協議を継続していく」となっています。

 ここにおける「その地位の向上」について、私たちは具体的に地方選挙権を要望してきた経緯があります。

 去る5月29日、森首相と金大統領との会談で、金大統領は「今年中に付与できるよう日本政府と国会が真摯に努力してほしい」とあらためて強く要望しています。

 韓国内における在韓定住外国人に対する地方選挙権付与法案の立法化の方が、日本のそれよりも早くなるかもしれません。


■「20世紀中」の立法化を求める

 いずれにしても問題は自民党の最終決断のみとなっています。日韓議連の幹部が言うように、「公党間で約束したことは守るべき」です。

 自民党の選挙制度調査会における検討会議は、衆議院選挙前にすでに12回行われており、残すところ2回となっています。

是非早急に再開し、党としての結論を出すべきでしょう。

 参院憲法調査会が去る5月17日に行った参考人意見陳述で、石毛直道国立民族学博物館長は、「就労目的の外国人の移住による日本の多民族化を避けることはできない」と言い、外国人住民に対し「少なくとも地方政治では参政権を付与してはどうか」と述べています。

 現在、私たちが要望する地方選挙権に理解を示し、国に立法化を求める地方自治体議会の意見書採択はすでに千四百七十を超え、日本の全体の人口から見た賛同比率は74%を超えています。

 国際化の進展とこれからの日本の役割を果たしていくためにも、「開かれた政策」が求められています。私たちは、20世紀中の立法化を強く要望しています。

(2000.07.26 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ