民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
悩みは「就職差別が不安」

神奈川県の外国人実態調査



■□
永住・定住者で顕著
回答者3人に1人の割合

 【神奈川】神奈川県は県内在住外国籍住民を対象に生活実態調査を実施、このほどその中間報告をまとめた。調査結果によれば、生活上の悩みは永住・定住者が「就職差別」、新規渡日者は「帰国後の教育」が、大きなウェイトを占めていることが明らかとなった。報告書は来年春をめどに作成、外国籍住民施策立案のための基礎資料とする。

 調査対象は18歳以上の神奈川県内外国人登録者3000人。約11万6000人の中から無作為に抽出、昨年12月から今年2月にかけてアンケート調査した。同様の生活実態調査は定住外国人にしぼって84年にも行っているが、結果的には川崎と横浜に偏っていた。県内全域をくまなく網羅した調査は今回が初めて。

 回答を得られたのは1007件(回収率37%)。日本での居住年数は5年以上10年未満27・5%、10年以上20年未満17・7%、1年以上5年未満は21・7%だった。ただし、ニューカマーでも近い将来の帰国・出国を予定しているのは14・8%に過ぎず、多くは引き続き日本に住み続けることを希望している。

 調査項目は全部で四十五問。生活状況、教育と子ども、病気やけが、仕事などについて現状や不満、悩み事、行政への要望などを聞いた。

 日本での生活基盤が確立されている在日韓国・朝鮮人に代表されるオールドカマーの「教育と子どもについて」の悩みは、「就職差別」が32・1%と抜きんでていた。このほか「学費が高い」が20%を超し、「いじめられる」「進学できるか不安」が10%台で続いていた。

 一方、ニューカマーでは「帰国後の教育」と「学費が高い」が20%台でほぼ同様の選択比率だった。このほか10%を超えたのは「言葉や文化の面で親と子どもの間に溝がある」「いじめられる」「日本語が十分できない」など。

 また、地方参政権など外国籍住民の政治参加に対する関心度については、オールドカマー、ニューカマーの別なく高い関心度を示していた。

 オールドカマーで「選挙権」がぜひ必要と答えたのは六割を超した。「被選挙権」では「ぜひ必要」の選択率こそ相対的に低下したものの、「あるとよい」と合わせると73・6%が「必要」と考えている。ニューカマーでも約五割は「地方参政権」を必要としていた。

 県ではこの分析結果を参考に、9月から20歳以上の外国籍住民、100〜150人を対象に「ヒアリング(訪問面接)調査」を行い、来年4月か5月までには最終的な調査報告書をまとめることにしている。

(2000.07.26 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ