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離散家族再会の制度化急ごう



 民族の解放を祝う光復節の15日、南北の離散家族100人ずつが、それぞれソウルと平壌を訪れ、半世紀ぶりに父母兄弟と再会しました。「血は水よりも濃し」―。年老いた父に不幸を詫びる息子、娘の体を確かめるようにさする母。南と北の会場で、肉親がひしと抱き合う姿を映し出すテレビ映像に、在日同胞も涙したことでしょう。


■南北双方で1000万人が存在

 6・25韓国戦争の混乱の中で南北に分かれ、以来50年の長きにわたって会うことができなかった南北離散家族は、双方会わせて1000万人にもおよびます。

 離散家族の再会は、15年前の85年9月に初めて、南北50人ずつが果たしました。当時も、韓国戦争から、35年ぶりの再会実現だと湧きましたが、残念ながらたった1回の再会だけで、その後は途絶えてしまいました。感激の思いから一気に悲しみに突き落された出来事でした。

 今回は、6月の歴史的な南北首脳会談で出された南北共同宣言にのっとって実現した離散家族の再会です。15年前と同じように、熱い肉親の情が交わされたことはご存じのことでしょう。

 しかし今回は、二度と前回の轍を踏んではなりません。なぜなら韓国国内だけでも767万人の離散家族が存在するからです。離散家族の再会が決まったとき、韓国内ではたった100人の枠に7万6000人が殺到しました。死ぬまでに会えるのか、と心を砕きながら生きてきた離散家族たちにとっては当然のことでしょう。100人ずつ双方で200人という数は、あまりにも少なすぎるでしょう。肉親と50年ぶりに情を通わせた数百人の影に、失意を抱える1000万人が存在するのです。

 また、たった4日、しかも厳しい制限下の再会とあって、喜びもつかの間、再び期限のない離別となりました。「明日にもでも統一ができると言うんですか。時間が過ぎ去るのが悔しい。あと数日、いや何時間だけでも、ここにとどまっていたい」という家族の言葉はあまりにも実感がこもっています。


■自由に会える面会所の設置を

 14日に平壌を訪れた韓国のマスコミ社長団との会見で金正日国防委員長は、9月と10月にも一度ずつ、今回のような離散家族相互訪問を実現させると表明しました。また来年には家族の家にまで行けるようにするとも明らかにしました。この発言で、離散家族再会により弾みがつくものと思われます。

 しかし、韓国内に居住する離散一世は123万人にも達します。そして90歳を越すなど皆が高齢化しています。彼らには残された時間がほとんどないのです。

 政府当局者によりますと、今月27日から平壌で開かれる閣僚級会談と来月の赤十字会談を通じて離散家族の面会所を設置することで合意する予定だといいます。また手紙の交換、対北送金などの後続措置も論議されるようです。赤十字関係者も、すでに6月の会談で面会所設置は原則合意しており、9月で完全妥結すれば、すぐに着手する方針だといいます。

 離散家族という存在が生まれて50年、すでに多くの同胞が父母や兄弟、姉妹との再会を夢見ながら無念にも他界しました。

 韓半島における平和定着と南北の和解・交流を着実に押し進め、一歩一歩と平和統一に向けて歩を進める中で、限られた時間しか残されていない離散家族再会は、政治と切り離した形で、連続的かつ制度的に進められなければなりません。

(2000.08.23 民団新聞)



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