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同胞和合の協議開始に向けて



 去る8月24日、朝鮮総連(総連)中央本部の南昇祐副議長ら幹部3人が民団中央本部を訪れ、金宰淑団長あての提議書を具文浩副団長らに伝達しました。韓徳銖議長名のこの提議書は、民団との和解と交流に向けて、両組織の中央本部間で協議機関を早期に設置するなど、4項目からなっています。

 周知の通り、今年6月の南北首脳会談の成功を受けて民団では記者会見を開き、在日同胞社会での和合と交流を通じて同胞社会の統一を指向する時が来たと内外に明らかにしました。と同時に、総連に何ら条件なく対話と交流を進めようと提議書を発表していました。

 このたびの総連の提議は、民団の提議書に肯定的に呼応したものとしてこれを受け入れ、民団では総連側の受け入れ準備が整い次第に総連本部を訪問し、正式にこの提議に回答すると返答しています。

 両組織間の協議が実現すれば、91年の「千葉世界卓球選手権」時に、南北単一チームを共同応援して以来9年ぶりになります。先の南北首脳会談が“歴史的な会談”と評価されるように、今ようやく端緒についた民団と総連の話し合いは、在日同胞社会にとって画期的な転機をもたらすものになることは言うまでもありません。


■分裂した同胞社会に終止符を

 在日同胞社会は本国の分断状況に影響され、38度線のない日本の中で民団と総連に二分され、異民族社会で同族が対立するという冷戦構造に組み込まれてきました。それは、金大中大統領をして「在日同胞ほど受難の歴史に翻弄された同胞はいない」と言わせたほど熾烈なものでした。のみならず、日本人の在日同胞を見る目を曇らせ、偏見を助長したことでしょう。

 21世紀を目前にして、私たちは新世紀を生きる在日3世、4世に分裂したままの同胞社会を引き継がせることは、民族の自尊にかけて許すわけにはいかないと自覚し、民団、総連ともまずはお互いを認め、尊重し合うような関係改善に一歩踏み出すべきだと訴えています。

 また、生活基盤のある日本で民団と総連が在日同胞の権益をともに追求していけば、同胞の生活条件は格段に向上するのは明らかです。力の分散ではなく、統合が在日同胞の共通の願いであり、要求であることを真摯に受けとめなければなりません。

 さらに、分断祖国と命運をともにしてきた在日同胞だからこそ真の解放を享受し、祖国の平和定着と統一に寄与したいという意志を在日の運動に反映させなければならないと思います。

 そのためには、民団と総連が歩み寄り、在日同胞の和合と同胞社会の統一に向けて胸襟を開き、今すぐにも可能なところから課題を実現しなければなりません。


■まずは一歩を踏みだそう

 一気に「雪解け」は来ませんが、民団では、総連との持続的な対話と交流のための協議機構の構成に賛成し、すぐにでも対応する準備ができています。

 サイは投げられました。もう後戻りはできません。民団も総連も在日同胞によって構成された在日同胞のための団体であるとの原点に立ち返り、一日も早く対話のテーブルに着きましょう。

 そして、在日同胞のみならず本国も注視している在日同胞社会の和合を軸に、在日同胞社会の英知を結集して日本社会に諸問題の解決を働きかける一方で、祖国の平和定着に向けた在日同胞の結集した力を誇示していきましょう。

(2000.09.06 民団新聞)



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