| 今年4月、ソウルで開かれた 韓国作家との交流会 (左端が禹さん) |
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韓日友好へ下地作り
韓国文学の対訳紹介も
【宮城】韓国語を学びたい、学ぼうという市民による自発的な学習サークルが、仙台とその近郊で静かな広がりを見せている。仕掛け人は在日同胞2世の禹昌守さん。会の立ち上げにあたってはその都度、サポートしてきた。禹さんが関わったサークルは20余りを数え、すでに200人余りの“卒業生”を送り出した。
禹さんが初めて韓国語の学習サークルを立ち上げたのは2年前のこと。知り合いの定時制高校教員から韓国語講師の依頼を受けたのが始まりだった。禹さんは韓国人留学生の手を借り、独自にテキストとテープを作った。ここには、禹さんが10年間近い韓国語学習経験で身に着けたノウハウが生かされている。無駄を極力はぶいて、効率的に学べるよう工夫した。
禹さんは1日3時間、5日間の連続講座を無事こなした。欠席者はたった一人だった。禹さんは韓国語を学びたいというセン在的な需要の大きさをひしと感じたという。事実、これをきっかけに口コミで韓国語学習者の輪が広がっていった。
禹さんは韓国語を学習したいという人をサポートするにとどめ、自ら組織することはない。押しつけになれば長続きしないからだ。会場は近くの公共施設を借りるため、受講生の金銭的な負担は少ない。禹さんにすれば「タダみたい」なものだという。これもサークルが次々に生まれていった原動力といえそうだ。
禹さんは本名で一級建築士事務所を営む。閉鎖的といわれる建設業界では、このことがマイナスに働くことも少なくない。「韓国への理解度が低い」「関心が少ない」と感じることがたびたび続いた。禹さんは、せめて「自分の回りだけでも耕そう」と決意した。手をこまねいていても何も変わらないからだ。
10年ほど前、「韓国の文化を知らせる」ことを自らの使命として、韓国文化サークル「ムジゲの会」を組織した。気のあった日本人の仲間を誘い、韓国語を勉強し、韓国旅行を楽しむという会だ。こうした仲間づくりが、草の根の韓国語学習サークルを次々に生み出していく下地となった。禹さんは今でも講師として五つ余りのサークルに関わっており、休む間もないほどだ。
昨年はこうした仲間の手を借りて、仙台で初めて韓国演劇の招聘公演を成功させた。そして今年は韓国文学の対訳に取り組み、6月に仙台市の図書館や市民センターに寄贈した。
仙台市はサッカーの2002年ワールドカップ(W杯)開催都市の一つ。市民レベルの韓日友好の雰囲気作りに向けてこれからが正念場だという禹さん。演劇招聘、文学対訳に続く次の一手が期待される。
(2000.09.06 民団新聞)
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