民団新聞 MINDAN
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ハルモニたちの学校設立して

北九州「青春学校」で署名運動



公民館での識字学級で韓服を着ながら
熱心に授業を受ける
89歳の姜金順さん

■□
すでに1万5000人突破
ボランティア広がる

 【福岡】学校へ行きたくても学ぶことができなかった在日同胞のオモニやハルモニらを対象にした北九州市八幡西区の「青春学校」の生徒やボランティアたちが、夜間中学の設立を求めて署名活動を行っている。

 1994年5月にスタートした青春学校は、読み書きができない地域の一世オモニやハルモニに識字教育を行ってきた。発起人の一人、金美子さんがオモニの張守祚さん(66)や地域の同胞に学ぶ場である夜間中学を作ってあげたいと声を上げた。保坂恵美子・久留米大学教授ら多くのボランティアが集まり、穴生(あのう)公民館で自主的な識字学級が誕生した。

 毎週木曜日、生徒やボランティアら40〜50人が集い学んでいる。教師一人と多数の生徒という通常の学校形式を取らず、生徒一人ひとりにボランティアが着くマンツーマンで勉強する。ボランティアも教師や高校生と幅広い。母親に連れられてきた不登校に悩む谷岡奈津子さんは、ハルモニとの交流を通じて自分自身を取り戻した。

 15歳で渡日し、読み書きができないために苦労した姜錦玉さん(67)は教室で「字を覚えたらおもしろい」とにこにこ顔で谷岡さんに教えてもらいながら「ヤドカリの引っ越し」を読んでいた。最高齢の姜金順さん(89)も韓国で買ってきたという改良韓服を着て鉛筆に力を込めながら漢字でしっかりと自分の名前を書いていた。

 一期生の張さんは現在、定時制戸畑中央高校に通う3年生になった。これまで2人が定時制高校へ進学した。しかし、進学のためには中学校卒業程度認定試験を受けなければならず、年をとって学んだハルモニたちには全科目を1回で合格するのはおぼつかない。現在も2人が、3年間を費やし、すでに4年目の挑戦に入っている。

 夜間中学校を実現させる会(林静一路代表)らは、「夜間中学ができれば認定試験を受けることなく定時制高校に通うことができる」と多くのオモニ、ハルモニに学習の場を作りたいと、生徒、ボランティア上げて署名活動を展開している。五万人の目標のうち、すでに一万五千人を集めた。

 8月31日の授業には、夜間中学の設立を支援しようと民団福岡県本部の姜泰守団長、崔峯圭事務局長が学校を訪れ、生徒たちを励ました。また民団の要望を受けた福岡県議の野田栄市議員も駆けつけ、1日も早い夜間中学設立に理解を示した。

 民団福岡県本部では、夜間中学設立のために署名運動に全面的に協力する態勢を取っている。

(2000.09.06 民団新聞)



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