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新しい同胞の方向性さぐる

「21世紀委員会」が正式発足



9月9日に開かれた
「21世紀委員会」の第1回全体会議

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代表に金敬得氏、各界同胞50人で構成

 在日同胞社会と民団組織の21世紀の方向性を模索していくための「在日同胞21世紀委員会」がこのほど発足し、9日、都内のホテルで全体会議と委員に対する委嘱状の伝達式が行われた。

 同委員会は急進展するIT(情報技術)革命や激変する祖国半島と在日同胞社会などに対応し、21世紀に見合った在日同胞社会づくりのための中・長期的なビジョンを打ち出していくことが大きな目的。経済、組織、ライフスタイル、文化、教育など六つの部会が設けられ、テーマ別に研究を重ねていく。

 委員も学界、法曹界、文化人、教育者、ジャーナリスト、市民団体、経済界など幅広い分野の在日同胞50人で構成。この日の全体会議の席で金宰淑団長から委員一人ひとりに委嘱状が手渡された。

 また、代表は弁護士の金敬得氏、事務局長には朴善国・民団中央本部企画調整室長が選ばれた。

 同委員会は当面、中央執行委員会の専門委員会として所属。今後、六部会でそれぞれ研究、調査を続けていき、中央執行委員会に政策などを提言する。


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金宰淑団長(右)から委嘱状を受け取る
「21世紀委員会」代表の金敬得氏

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ビジョン作りへ動き出す

 新時代の在日同胞社会と民団組織のあり方を研究する民団中央本部の「在日同胞21世紀委員会」(金敬得代表)が9日、正式に設置された。同委員会は世界的な規模で急進展するIT(情報技術)革命と南北首脳会談を契機に大きな変化を見せ始めている韓半島情勢と在日同胞社会、さらに在日同胞社会の世代移行など、迫られる「変革」に対応し、21世紀の方向性を模索するための中・長期的ビジョンをつくる研究機関。今後、分野別に六つの部会に分かれて、在日同胞社会の現状と問題点を究明し、調査・研究を通じて当面の政策提言と中・長期ビジョンを打ち出していく。


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6部会設け研究活動

 「21世紀委員会」は金宰淑団長が公約の一つとして掲げていたもので、5月の中央執行委員会で設置が承認されていた。当面は中央執行委員会に所属する専門委員会として活動するが、必要に応じて将来は中央委員会所属の特別委員会に格上げすることも予想される。

 @同胞社会と民団の実態調査A分野別テーマに沿った研究B当面課題と中・長期政策の提言C研究結果の統合と成果の出版、報道などを遂行していく。

 このため、各部会からの必要性に応じて実態調査やシンポジウムのほか、公聴会などを地方別に開催していく方針。研究内容の中間報告と結果報告は、中央執行委員会に提出するが、承認された政策提言は中央委員会に提出する。

 部会は六つに分かれ、@同胞経済と商工団体を研究する「基盤作り部会」A民団組織を研究する「組織づくり部会」B同胞の生活を研究する「くらしづくり部会」C民族教育と文化を研究する「人・文化づくり部会」の四つのほか、特別部会として@「ポスト地方参政権部会」A「IT部会」の二つを設置した。

 このほか、全体を調整していく「運営委員会」も構成している。

 9日、都内のホテルで行われた第1回全体会議で、金団長は「すでに二世から三、四世へと世代が移行している今、新しい時代に見合った在日同胞社会のあり方を模索しなければならない」と、同委員会の意義を述べながら、「『21世紀委員会』は民団のためということにとどめず、在日同胞全体のためのビジョンづくりをめざしている。各界で活躍している、みなさんの知的力量を結集し在日同胞が自信と誇りと勇気を持てるビジョンを打ち出してほしい」と呼びかけた。

 代表に選ばれた金敬得氏も「闘争を続けながら地位向上をしてきた在日同胞団体の半世紀だったが、日本国籍取得者の増加など、民族基盤の弱体化は否めない。もう一度過去を見つめ直し、21世紀の在日同胞のあり方を模索していこう」と述べた。

 同委員会事務局長の朴善国室長も「テーマによっては時間がかかる問題もあるが、急ぐべきものもある。委員一人ひとりが作りあげていく姿勢を持ち、新しい制度とシステムを作っていく委員会になってほしい」と期待を込めた。

 会議後、別室で全体の懇談会が行われ、各部会長らから今後の抱負などが披露された。


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各部会の部会長と研究テーマ

 「21世紀委員会」は六つのテーマに分けて部会を設置。今後、各部会ごとに研究や調査活動を展開しレポートをまとめていく計画。

 以下各部会の部会長と主な研究テーマ。


◆「基盤作り部会」
 (部会長・李起昇=公認会計士)

 @同胞経済の現状と課題
 A金融機関のあり方
 B商工団体のあり方。


◆「組織づくり部会」
 (部会長・徐海錫=民団愛知本部副団長)

 @組織の現状と問題
 A活動内容の再検討
 B規約の問題
 C財政の問題。


◆「くらしづくり部会」
 (部会長・李清一=イカイノ保育園園長)

 @同胞のライフサイクルとライフスタイルの現状
 A同胞の価値観、世代別価値観と指向性。


◆「人・文化づくり部会」
 (部会長・李明=京都韓国学園教頭)

 @在日同胞にとっての民族教育の意味
 A学校教育の現状と課題
 B社会教育の現状と課題
 C21世紀の在日韓国人像と民族教育
 D在日同胞の自主的文化活動の現状と課題
 E在日同胞の独自的な文化活動の可能性と将来。


◆「ポスト地方参政権部会」
 (部会長・金敬得=弁護士)

 @在日同胞の21世紀における法的地位と役割(地方参政権獲得後の在日同胞)
 A本国における在日同胞の法的地位。


◆「IT部会」
 (部会長・玄光男=足利工業大学教授)

 @IT革命と在日同胞社会
 A在日らしいITネットワークの構築。


(2000.09.13 民団新聞)



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