民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
「協議機構」早期設置促す

民団中央代表が総連中央訪問



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対話・交流の具体化へ
文科委員会の構成も提議

 民団中央本部の具文浩副団長ら幹部4人は11日、朝鮮総連(総連)中央本部を訪問し、8月24日に総連が持参した提議書に対する「回信書」(返書)を手渡した。金宰淑団長名の返書のなかで、民団では総連の提議書に盛り込まれていた中央本部単位の協議機構設置に賛成するとともに、対話と交流を具体化するための四つの課題を挙げ、成果的に解決するための分科委員会の設置を提案した。総連では「内容を検討して回答する。次回の会合日時についても追って連絡する」と答えるにとどめた。(返書全文別掲)

 この日、総連を訪れたのは具副団長のほか、朴性祐・平和統一推進委員長、河政男組織局長、丁栄哲同副局長の4人で、総連からは南昇祐副議長、国際統一局の梁寿正局長、劉相植同副局長が応対した。

 民団中央本部の幹部が総連中央本部に出向くのは、1991年に千葉で開かれた世界卓球選手権で史上初の南北単一チームの共同応援・支援を協議するために訪問して以来9年ぶりのことになる。

 8月24日と同じ顔ぶれで始まった第2回目の会合は、和気あいあいの雰囲気のなかで進行し、約1時間半続いた。

 会合の焦点は、まず協議機構の設置で双方が合意することだった。その上で、民団としては、@同胞団結のための交流と和合事業A南北の平和定着と交流、統一に益となる事業B在日同胞の共通の権益に関する事業C在日同胞の経済、社会、教育、文化事業―などを解決するための分科委員会設置を新たに提起した。

 これに対して、総連側は提議書の中で自ら持ち出した協議機構設置を話し合う入り口の段階で「あせらずに進めよう」と返答。懸案の協議機構については即答をせず、前向きに検討するとだけ述べたため、合意にはいたらなかった。次に分科委員会設置についても次回以降の検討事項になった。次回の会合日時は、総連から民団に連絡される。

 民団では8月の総連の提議書を6月15日の民団の提議書への回答と受けとめるとともに、在日同胞が願う同胞社会の統一という観点から、当初、8月中の回答を通知、すでにその準備をしていた。しかし、総連の要請によってこの日に延期されていた。

 70万人の在日同胞社会を二分する民団、総連が、対立と分裂の関係から「解放」され、和解と交流を通じた「統一」をめざすことを多くの同胞が期待している。在日同胞のみならず、本国社会も日本社会も注視している民団と総連の話し合いによる協議機構設置へ進展が急がれるところだ。


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民団の総連に対する返信(全文)

在日本朝鮮人総連合会・中央常任委員会
 議長 韓徳銖 貴下

 さる8月24日、貴総連中央常任委員会の提議書を受け取りました。

 私は、韓国民団を代表して6月15日、歴史的な南北首脳会談の共同宣言が発表された日、分断祖国の歴史と共に分裂と対立を繰り返してきた在日同胞社会が、いまや和合と交流を通じて統一を指向する時がきたことを、内外に明らかにしました。

 それだけでなく、貴朝鮮総連と韓国民団が無条件で虚心坦懐に対話と交流を行うよう提議しています。

 私は、このたびの貴組織の提議の意味を、南北共同宣言の精神に立脚した民団の提議に呼応したものとみなします。

 そして、今後の貴組織との対話と交流に際し、南北共同宣言の意味と在日同胞の願いを具体的に具現するために、なによりも誠実な対話を通じて双方間の信頼を構築しながら、在日同胞社会の懸案問題解決、南北平和定着と和解、交流に貢献していかなければならないと考える次第です。

 韓国民団と朝鮮総連が、このような歴史的な責務を果たすことによって、21世紀に活力に満ちた同胞社会を実現していくものと確信し、つぎのように返信します。

 1、貴組織との持続的な対話と交流のために中央単位の協議機構の構成に賛成し、民団は対話を責任を持って推進する代表団を派遣いたします。

 2、今後の対話と交流の具体化のために、大きく4つの課題に対する協議内容が設定されるよう望みます。

 第一の課題は、在日同胞の民族愛をよみがえらせ、団結のための交流と和合に関する事業。

 第二の課題は、南北の平和定着と交流、統一に助けとなる事業。

 第三の課題は、日本政府および日本自治体に対する共通した同胞の権益に関する事業。

 第四の課題は、われわれ同胞自体の経済、社会、教育、文化等に対する事業。

 3、このような四つの課題を真摯に、成果的に解決するためには、分科委員会を設けることが望ましいと思います。

 以上のように、韓国民団と朝鮮総連の歴史的かつ画期的な対話と交流のために、今回貴中央を訪問する民団代表団と協議を行い、具体的な進展のあることを願う次第です。

 対話と交流の成功を祈って…

 2000年9月11日
 在日本大韓民国民団・中央本部
 団長 金宰淑

(2000.09.13 民団新聞)



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