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朝鮮籍の金洪才さん

韓国・芸術の殿堂で10月招請公演



ソウルで指揮を執ることになった
金洪才さん

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ASEM開幕演奏会でタクト
鄭明勲、鄭京和との共演も

 在日同胞二世の指揮者、金洪才さん(46)が10月20日から4日間、ソウルで開かれる第3回アジア欧州連合首脳会議(ASEM)を記念しての「10月音楽祝祭」(10月19日〜22日)で指揮する。芸術の殿堂による招請公演で、10月20日、ピアニストの白健宇と共演、ASEM開幕公演の大役を担う。朝鮮籍の金さんの訪韓は今回が初めてとなる。

 金さんは日本のプロオーケストラからの推薦を受けて98年度渡邉暁雄音楽基金音楽賞を受賞、「次代の音楽界を担う優秀な指揮者」として国際的に高い評価を受けている。デビュー翌年の79年には民音主催の国際指揮者コンクールでも二位と初の特別賞(斉藤秀雄賞)を受賞した。両賞受賞は金さんが初めて。

 金さんはモーツアルトなどの古典派から現代音楽まで幅広いレパートリーを誇る。中でも故・尹伊桑の作品については交響曲第2番、第3番など約20曲を日本で初演しており、日本での第一人者として認められている。90年代初めには韓国の複数のオーケストラから客演指揮の依頼も受けたが諸般の事情で実現しなかったため、今回が初めての訪韓公演となる。

 金さんが芸術の殿堂コンサートホールで演奏する20日の演奏会はASEMの開幕行事の一環であり、韓国文化観光部が国庫支援する国家的行事として位置づけられている。金さんはKBS交響楽団を指揮、尹伊桑作曲の舞踊音楽「舞楽(ムアク)」を指揮する。同管弦楽曲は東洋の舞いと西洋の舞いとの出会いを、静と動、人間の陰と陽の観点から描く作品。ASEMの開幕を飾るのにふさわしい作品として選ばれた。

 続いて、ソリストにフランスで活躍する白健宇を迎えて演奏するブゾーニのピアノ協奏曲は途中、合唱も入る八十分の難曲。韓国ではこれが初演となる。

 芸術の殿堂側では「この祝祭は世界に韓国の文化を広め、平和とメッセージを音楽で表現しようとする意義深い文化行事です。分断を越え、統一と平和を志向する韓民族の力と願いが込められた大変意義深い演奏会になるはずです」と話している。

 このほか翌21日には、同じ芸術の殿堂コンサートホールで鄭明勲指揮サンタチェチーリア国立アカデミー管弦楽団による初の来韓公演も行われる。バイオリンは鄭京和。

 金さんは「演奏家と聴衆が共に満足して、感動を分かち合えるコンサートにしたい。自分のすべてを出してきたい」と意欲を燃やしている。


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ASEMとは

 ASEM(アジア欧州連合首脳会議)はEU加盟15カ国と欧州委員会、アジアからASEAN7カ国と韓国、中国、日本10カ国が参加している経済と文化のサミット。94年にタイが欧州アジア間の貿易相会議を提案、同年にフランスを訪問したシンガポールのゴー・チョクトン首相がこれの首脳級への格上げを提案したのが始まり。1996年3月にバンコクで第1回会議が開かれた。

(2000.09.13 民団新聞)



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