民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー

私、焼き肉の味方です



 総務庁統計局の調査によれば、日本の焼肉店はこの10年で6000店増え、全国計2万店を超えたとある。

 そもそも焼肉は在日同胞が「発明」した食文化だから、昔は食べに行く場所というのが限られていた気がするが、今ではコンビニさえないような小さな駅前にも、肉の焦げる匂いだけは立ちこめている趣(おもむき)がある。

 私は牛肉を最も美味しく食べられる調理法は、焼肉だと勝手に考えている(ステーキは最後には中途半端に冷めてしまうので)し、ビールに最も合う食べ物だとも確信している(これに匹敵するのは寿司だけだと思う)ので、誠に喜ばしい限りである。

 種類もかつては、カルビ、ロース、ホルモンぐらいしかなかったのが、最近ではギャラとかツラミとか聞いたことのなかったメニューまでが並ぶようになり、四つある牛の胃のすべてと、タン以外はあまり馴染みのなかった首より上の部分までが、しっかり食べられるようになった。

 私の後輩のC君は、子供の頃同級生の家に遊びに行き、夕食に腐った肉を出されて腰を抜かした、という話を持ちネタにしている。貧しかった彼の家では、それまで内蔵しか食べたことがなかったので「牛肉は白いもの」という思い込みがあったからだが、今はそんな時代でもない。

 それでも最近読んだ週刊誌では、横隔膜だから本来あり得ないハラミの特上や、安物のロースをカルビと偽って出す悪質店について特集していたくらいだから、現在の2万店はいずれ淘汰されて行く運命なのかも知れない。

 半面そんな店でも、宣伝とブームに踊らされて群がるように長蛇の列を作ってまでして、食べに行く人たちがいるわけだから、どっちもどっちということだろうか。(S)

(2000.09.20 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ