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金大統領・地方参政権年内成立を

韓日首脳会談で強く要請



23日の会談後に共同記者会見を行う
金大中大統領(左)と森日本首相

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「実現すれば、世界が評価」
関係発展など意義説き、要請

 金大中大統領と日本の森喜朗首相は23日、静岡県熱海市内のホテルで会談した。金大統領は今臨時国会に提出されている「永住外国人に地方選挙権を付与する法案」について、年内の成立を強く要望。森首相は「関心を持って注意を払っていきたい」としながらも基本的には国会での対応にゆだねる考えを示した。金大統領は会談終了後の共同記者会見で、日本と北韓との国交正常化交渉に関連し、「成功の道へと向かうことを心から望む」と語り、南北対話進展のためにも日本と北韓の関係改善が必要との認識を示した。(関連記事別掲)


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地域住民として一層寄与するだろう

 首脳会談は(1)在日韓国人への地方参政権付与問題(2)北韓対策(3)韓日経済協力関係(4)文化交流問題など、約1時間40分行われた。

 会談後、両国首脳は共同記者会見を行った。金大統領は、永住外国人地方選挙権付与法案について「参政権が与えられれば、韓日両国の関係が発展するだけでなく、在日韓国人が、選挙権を持てば日本社会の善良な一員として一層寄与できる。韓国国民の信頼感、感謝の気持ちも高まる。民主主義、人権尊重の措置として、世界が高く評価するだろう」と熱心に意義を説き、同法案の年内成立を強く求めた。森首相は「国の根幹に関わる問題で、さまざまな意見がある。国会で真剣な議論が行われることを期待している」と述べるにとどめた。

 北韓への対応では、金大統領が、南北首脳会談で金正日国防委員長が統一後の在韓米軍の駐留を支持したと説明。「北韓が日米両国との関係改善を望んでいないとすれば、これまで主張してきた在韓米軍撤退の主張を曲げるはずがない」との見方を示した。

 森首相は「日朝交渉を進めるにあたり、韓国からも様々な協力をいただきたい」と支援を求めたうえで、「準備が整えば、日朝の首脳が会うことも考えられる」と述べた。

 森首相はまた、6月の南北首脳会談を歓迎するとともに、このような前向きな流れの基礎となっている「包容(太陽)政策」を引き続き全面支持していくことを表明した。

 森首相は、2002年1月をめどに、遅くても2002年度中には大学入試センター試験に韓国語を導入する方針を表明した。

 金大統領は天皇訪韓問題についてふれ、「訪韓の時期は日本政府が決定する問題。決定すれば、韓国では万全の態勢でいつでも歓迎する。天皇訪韓とサッカーの2002年ワールドカップは必ず成功させなければならない」と述べ、「そうすれば両国関係は今では考えられないほど緊密、強固なものになる」と述べた。

 会談ではこのほか、韓日投資協定の年内締結に向け、実務者協議を加速させることで一致。両国間の自由貿易協定の締結問題では、民間経済人らで意見交換する「韓日ビジネスフォーラム」の設置で合意した。


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「IT協力イニシアチブ」も採択

 また、IT(情報技術)分野での韓日協力強化へ、八項目からなる「韓日IT協力イニシアチブ」も採択した。

 さらに金大統領は、両国間の航空便が不足していると指摘し、「米国のワシントン―ニューヨーク間のシャトル便のようなことも検討してもらえたらありがたい」と改善を要望。

 森首相は「W杯を控え、関心をもってフォローしたい」と前向きに対応する考えを示した。

(2000.09.27 民団新聞)



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