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南北交流、在日同胞の支援に感謝

金大統領、民団幹部代表と懇談会



金大中大統領夫妻を迎えて行われた
民団幹部代表との懇談会で
歓迎のあいさつをする金宰淑団長(右側)

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民団の北韓訪問団実現も示唆

 日本を訪問した金大中大統領は22日夕方、森喜朗首相との首脳会談を前に都内のホテルで民団幹部代表と懇談会を持ち、民団が総力を挙げて展開している地方参政権獲得運動について、「人権問題として今後の韓日関係にとっても重要だ」と森首相に法案成立を強く求めることを約束した。また、韓国と日本が共催する2002年ワールドカップでも在日同胞の架け橋的役割が大切だと強調した。

 金大統領との懇談会には、民団中央本部の金宰淑団長、姜永祐議長、洪性仁監察委員長をはじめ、傘下団体長など各界の代表37人が参席した。

 民団中央三機関長のエスコートで会場に入場した大統領夫妻は、民族衣装を着た東京韓国学校児童から花束を受け取ったあと、待ち構えた民団幹部代表一人ひとりと握手を交わした。

 金団長は歓迎あいさつの中で歴史的な南北首脳会談の成功が在日同胞に大きな感動と歓喜を与えたことを強調。民団、総連の間にも対話の光が見えたことを報告しながら、地方参政権獲得運動についても「必ずや解決できるよう、日本側に決断を促してほしい」と要望した。

 金団長は、2年前の公式訪日によって、韓日関係が大きく前進したと前置きしながら、「私たちの宿願だった地方参政権問題も画期的な進展を見せ(法案提出という)最終段階にさしかかった。これは、大統領の在日同胞に対する絶大な関心と声援のたまものであり、心から感謝している」と述べた。

 地方参政権問題に対し金大統領は「就任以来、数度にわたって日本側に実現を要請している。みなさんの地方参政権問題が実現すれば、日本にとっても、今後の韓日関係にとってもプラスになる。今回の首脳会談でも年内法案成立を森総理に強く求める」と約束した。

 金大統領は、98年の公式訪日で交わされた「韓日共同宣言」以来、韓日関係が大きく前進していることを強調。とくに日本大衆文化の開放では日本の映画が韓国で上映され、韓国の映画も日本で上映され大ヒットとなり、最近では日本語による歌も開放となり、「チャゲアス」の韓国コンサートを例にあげ、文化や青少年交流の大切さを述べた。

 さらに、大統領は韓国の経済問題についてもふれ、「みなさんの努力によって韓国に対する投資も増加している。韓日の架け橋的存在として在日同胞のさらなる活躍を期待している」と述べた。

 金大統領はまた、6月の南北首脳会談と8・15南北離散家族再会をはじめとする南北関係の進展などを説明しながら、この間、熱烈な支持と声援を送った在日同胞に感謝の意を示した。

 席上、朝鮮総連の訪韓団についてもふれ、大統領は今後、民団が25年前から実施している朝鮮総連同胞を対象にした「母国訪問団」との関係を考慮した上で、民団と相談しながら継続していきたいと話した。また、今後は北韓に故郷のある民団同胞の北韓訪問団も実現させたいと話した。


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民団の諸運動支援に感謝
金大統領訪日・民団中央団長の歓迎辞

 尊敬する金大中大統領と令夫人の訪日を心から歓迎います。多忙な日程にもかかわらず、接見の機会をいただき、恪別の配慮と深い愛情を示してくれた大統領に在日同胞を代表して心より感謝を申し上げます。

 さる6月15日、歴史的な南北首脳会談の成功は全世界の人々が歓迎し、在日同胞も大きな感動と歓喜の中、熱烈に支持しました。

 これは20世紀最後の年の最大の慶事と言えるでしょう。

 二度にわたる長官級会談、そして離散家族の再会、京義線の復旧工事着手など、南北の和解と協力を土台にした具体的な事態の進展を在日同胞は誰よりもうれしく思っています。

 このような韓半島の平和定着と南北間の和解と交流の前進は、ひとえに大統領の勇断と指導力によって成し遂げられたものであり、七十万在日同胞もよく知っています。

 私はさる6月15日、南北共同宣言が発表されたその日に、祖国の分断によって五十余年間、対立と抗争を繰り返してきた朝鮮総連に無条件かつ虚心坦懐に対話しようと提議しました。

 その結果、8月末に朝鮮総連が対話に応じるという回答を持参しました。9月11日には韓国民団が南北の平和定着に一助となる事業と在日同胞社会の懸案問題、そして同胞社会の和合と統一のための協議機構を常設化し、事業を具体化するための分科委員会設置を提議しました。

 私たち韓国民団は南北共同宣言の精神に従い、わが国政府と歩調を合わせ、分裂と対立を繰り返してきた不幸な在日同胞社会の歴史に終止符を打ち、21世紀の統一された在日同胞社会を1日も早く成し遂げようという決意と覚悟に満ちています。大統領におかれましては、私たちの決意と覚悟を見守って下さることをお願いします。

 2年前の大統領の歴史的な訪日により、韓日関係が大きく、そして幅広く、新しい次元で展開しただけでなく、私たち在日同胞の宿願であった地方参政権問題が画期的な進展を見せています。これは大統領の在日同胞に対する多大な関心と声援の賜であり、心から感謝申し上げます。

 今や地方参政権問題も最終段階を迎え、日本国会で法案提出され、審議・通過を待つのみとなっています。しかし、一部に理解不足の国会議員もおり、その帰趨が注目されています。

 大統領におかれましては、数々の韓日間の難題もあると存じますが、地方参政権問題が必ず解決できるよう、日本の決断を促して下さることをお願い申し上げます。

 大統領にご心配ばかりかけて申し訳ございませんが、21世紀の同胞社会の活力に満ちた発展のため、健全な民族金融機関の育成に私たちが全力傾注していることに留意して下されば感謝にたえません。

 私たち在日同胞は民団を中心に、来る2002年ワールドカップ成功のために「後援会」を発足させ、韓日の架け橋の役割を果たすべく全力を尽くします。

 大統領のこの度の訪日が、21世紀の韓日関係の大路をより一層固める大きな成果となることを願う次第です。

 短い日程のなか、大変ご多忙のことと存じますが、何とぞ健康にご留意され、志すすべてのことが成し遂げられるよう願います。


 在日本大韓民国民団
 中央本部団長 金宰淑

(2000.09.27 民団新聞)



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