民団新聞 MINDAN
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ノーベル平和賞受賞を祝う



 韓国人としてはじめてノーベル平和賞に金大中大統領が選ばれたことを、韓民族全体に与えられた栄誉として本国国民と共に心から喜びを分かちあいたいと思います。

 金宰淑中央団長は祝賀のメッセージで「弱肉強食の力の論理が支配した20世紀に、私たち韓民族は自らの意思に反して不幸な歴史にほんろうされてきた。平和の尊さを誰よりも知っている私たちにとって、20世紀最後のノーベル平和賞が金大統領に授与されることは、歴史の教訓に学びながら世界に向けて、平和のメッセージを発信し続けることの大切さを示したと言えます」と在日同胞の立場からの意義を述べました。

 同時に、韓半島の平和統一に向けて世界から寄せられた期待感の重さを韓民族の一員として痛感いたします。

 ノーベル平和賞は、戦争と破壊から人類の平和と発展を願い、1901年に設立された世界でもっとも権威ある賞であり、世界平和に貢献したとされる人に贈られる賞であります。


■南北首脳会談に高い評価

 ノーベル賞委員会は授賞の理由の第一に、金大中氏が韓国の大統領に就任した後、厳しい対立が続いている北韓に対し包容(太陽)政策を忍耐強く進め、今年の6月に自ら北韓を訪問、南北首脳会談を実現し、東アジアの緊張緩和の途を開いたことをあげています。さらに、共同宣言で合意された閣僚級会談の開催や離散家族の再会、国防長官会談、そして全世界の人々を感動させたシドニー・オリンピックの南北選手団の同時入場など、平和共存をめざす具体的な緊張緩和策が次々と実現されていることも評価を高めたことでしょう。また、アジアにおいて民主主義と人権の発展に果たした犠牲的な努力と、日本文化の受容を通して韓日間の関係改善に大きく寄与したこともあげられているようです。

 北朝鮮と朝鮮総連は一言も論評をしておりませんが、かならずや好意的な反応を示すものと思います。


■在日同胞の使命と役割りを

 21世紀にむけた韓民族の明るい展望をめざして努力を続けている本団は、金大統領の受賞は大きな励みであり、鼓舞的な出来事として受けとめています。

 在日同胞社会を二分し対立してきた朝鮮総連と本団との和合と交流事業は本格化するでしょう。南北首脳会談を契機に、本団のよびかけに対し、朝鮮総連から協議機構の設置を含む新たな提案がなされ、中央単位での対話の始まりを待つだけとなっております。一方、各級地方組織では、かつてないほど活発に、朝鮮総連との様々な交流が持たれております。市民パレードや野遊会、運動会など、民団・総連の枠を超えて同胞の絆を暖め合う契機として、本団が全国で取り組んでいる「10月のマダン」でも積極的に活用されています。

 また、21世紀を担う世代の育成に大いに活用して行くべきでしょう。韓国人にとって最初のノーベル賞、とりわけ平和賞であることの意義は実に大きいものがあります。日本の公教育の場で学んでいる3世・4世同胞に対する民族的自負心を培う契機となるでしょうし、民族学校においても大いに励みとなることでしょう。

 21世紀の豊かな在日同胞社会は、祖国の平和統一と在日同胞社会の和合、そして次世代育成にかかっています。あらためて世界から寄せられた期待と激励に韓民族の誇りと未来をかけて、在日同胞の立場から取り組んで行きましょう。

(2000.10.18 民団新聞)



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