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民族学級、ともに学ぶ場に

在日3世講師が「内なる国際理解教育」



児童を対象にした
韓国料理講習会で
呉啓子さん(右奥)

 【大阪】民族学級で在日同胞子弟と日本人が共に学ぶ。大阪・泉大津市立戎(えびす)小学校(353人)で民族学級が「内なる国際理解教育の場」として活用され好評だ。

 入級にあたっては国籍を問わない。3年生から6年生まで希望すれば誰でも韓国の言葉や歴史、文化を学ぶことができる。現在、在日同胞の在籍児童5人は全員、さらに日本人の児童も加わった53人が学年別に毎週1回、放課後の民族学級を楽しんでいる。

 10月6日には3年生児童が初めて韓国料理トッポキに挑戦した。この日、参加した児童は15人。在日同胞三世の民族講師、呉啓子さん(27)=堺市在住=の指導のもと、わいわいがやがや野菜を切り、慣れないフライパンを操った。

 料理ができあがり、試食に移ると「辛いよー。でもおいしいからお代わりをください」と呉さんにおねだりする子どもたち。応援に駆けつけた栄養士の菱田日出美教諭は「調理方法が簡単で給食に向いている。メニューに採用したい」と積極的。

 呉さんは94年に常勤講師として戎小に赴任した。当初は民族学級の教室に楽器が雑然と置かれていて、学習のできる雰囲気ではなかった。そもそも同僚教師の民族学級を見る目が冷ややかなものだったという。 周囲の子どもたちはもちろん大人からも「なんで日本に住んでいるの」「なんでそんなに日本語が上手なの」と初歩的な質問も浴びた。呉さんは「国際理解教育はみんな平等に、きっちり学ばなければならない大きな問題だ」と思うようになり、民族学級に日本人の子どもを受け入れるようになった。

 まもなく、呉さんは「私は韓国人やねん」と堂々という子どもの姿を見た。日本人の子どもたちは異なる文化、習慣や価値観の多様性をありのままに受け止めるようになってきている。 ただし、呉さんは正規の常勤講師だけに、一部から「民族学級本来の趣旨から外れている」との批判も出ている。

 これに対して、呉さん自身は「私自身、学生時代に人権教育をまともに受けた記憶がない。民族学級は民族意識を高めるために在日コリアン児童だけが学ぶ場だけでなくて、それ以上にどの子も国際的な感覚を持つ子として学ぶ必要がある。それが内なる国際教育」と話している。

(2000.11.01 民団新聞)



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