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わが街・ウリ支部

東京・江戸川支部…冠婚葬祭の窓口も



江戸川韓国人会館

◆費用割引で団員に還元
信頼増進から団費集金も容易に

 東京管内21支部の中では最東端に位置する民団東京・江戸川支部(韓在銀支団長)。同支部は、有志7人が民団支部結成のための準備委員会を構成、いくたびか会合を重ねながら1960年4月、結成にこぎ着けた。結成式には小岩警察が会場となった都内の飲食店を遠巻きにするなど厳戒態勢を敷いたという。総連との和合交流が進む江戸川だけに隔世の感がする。朴達権前団長当時、都内でもいち早く同胞老人親睦会「敬老長寿会」を発足させた。区からも正式な老人会として認知されており、補助金の交付を受けている。

 団員なら浴衣がけでふらりと寄っても温かく迎えてくれそうな、そんな下町らしい雰囲気を漂わせている支部だ。

 事務所内では訪問者のためにと、KNテレビが1日中放映されている。応接テーブルには茶菓子がさりげなく置かれている。執務室でありながら、団員には「居間」にいるつもりでくつろいでほしいという。ここんなところにも「民団業務の基本は団員に対するサービス業」と言い切る韓支団長(58)の姿勢をうかがい知ることができる。

 その端的な例が冠婚葬祭業務を扱う「民団江戸川支部相互扶助会」の存在。団員家庭が万が一不幸に見舞われた際には支部が窓口となり、契約先の葬儀社に取り次ぐ。諸費用は30%引きになる。弔問客への迎接なども支部役員で分担している。執行部の発案で97年から始まった。

韓在銀支団長

 韓団長は団員の置かれた境遇にも常に神経をめぐらしているという。その際、判断材料として「非常に役立っている」のが、団員宅を家庭訪問している事務部長から毎日のように上げられてくる子細な個人面談記録だ。韓団長が指示して就任間もなく始め、すでに5年間続いている。この間の蓄積はすべてファイルされている。

 内容は生活に密着したものが多い。このうち支部で解決可能な問題には迅速に対応してきた。一例だが、交通事故に遭い、加害者との間で示談交渉が暗礁に乗り上げていた団員の補償交渉をまとめたこともある。韓団長は「団員に対する還元ですよ。これが団費徴収に結びつく」という。

 事実、521世帯を数える団員家庭から上がってくる1400万円余りの団費のうち、約半分は団員自ら支部に持参してくるものだという。このため、支部専従者は、団費徴収に注ぐ労力を効率よく団員サービスに回すことができる計算だ。

 これらのアイデアは、30代後半から40歳代前半までで固めた二世執行部の提案から生まれた。韓支団長が96年の就任と同時に大幅な若返りを果たした成果といえる。

活気あふれる支部事務所

 しかし、顧問クラスからは不満の声ももれ聞いた。支部の草創期に団長を務めたある長老は「顧問にもっと諮問する機会をつくるべきだ」と独走気味の執行部に注文を付けている。これに対して金暁央同副団長は「韓支団長のいちばんの功績は、世代を変えたこと。若手が動きやすい環境をつくってくれた。前は事務所の敷居も高く感じられた。これをいかに低くしていくか。年中行事だけやっていればよしとする風潮では若手は寄りつかない。まだまだこれからやるべきことは多い」と援護している。

 韓支団長の果敢な実行力を利用、これからも斬新なアイディアを推し進めようとする若手執行部。支部改革はまだまだ緒に付いたばかりのようだ。

(2001.01.01 民団新聞 新年特集号)



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