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韓国文化院長の金鍾文さん



 99年8月15日の就任以降、日本で韓国文化を広めるために奔走している駐日韓国大使館文化院長の金鍾文さん(51)。多彩な行事参席に追われる中、昨年から韓国を深く知りたい人に欠かせないと、精力的に講演活動もこなしている。韓国文化の紹介や普及に加え、今年は韓国文化産業の日本進出基盤作りや来年開催のW杯サッカーを成功させるための雰囲気を醸成する計画などを打ち出し、着々と準備に乗り出している。


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かつてない活発交流生かし
W杯成功の雰囲気醸成

 韓日文化行事221件、スポーツ・青少年の行事18件、日本側の行事やオペラ・演劇などの招待109件。昨年1年間で行事に参席した総数は348件(うち55件は韓国文化院主催)。このほか講演会や晩餐会出席など多忙な日々を送る。

 韓国文化院は、日本国内での韓国文化の普及と紹介を目的に79年5月10日に設立された。その役割は現在も変わらないが、時代の変化に伴う新たな取り組みが不可欠になった。

 韓国政府は98年10月、99年9月、そして昨年6月の3回にわたり日本大衆文化の開放政策(一部規制)を実施。また、日本で大ヒットとなった韓国映画「シュリ」の公開や、来年にはW杯サッカーの開催を控え、日本人の韓国に対する意識に変化が生じるなど、かつてない勢いで双方の文化交流が活発に行われている。

 「時代の変化によって文化院も変わらなければならない」と考える。従来の仕事に加え特に今年は「韓国文化産業の日本進出基盤作り」と「W杯を成功させるための雰囲気の助成」などに力を入れたいと話す。

 関係者らと共同で「韓国映画特別週間」や、配給会社やマスコミ関係者などを対象にした映画情報提供や営業を兼ねた「韓国映画見本市」の開催をはじめ、コンサートなどの多彩な行事を予定している。

 W杯サッカー閉会後、特に危惧することは、88年のソウルオリンピックが終わった時に韓国ブームが去ったことだ。「再び繰り返さないために文化院の役割が重要になっていく」


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 就任前、駐日大使館広報官、文化部文化体育部長官秘書官、日本の大正大学客員研究員などを努めた。就任当時、まだ欧米志向の強かった日本人。

 「韓国や中国などアジアに対する関心は低く、日本で韓国文化を広げるのが難しかった」と振り返る。

 文化に接することでその国に関心を持つ人は多い。「韓国の文化を見せることは韓国という人格を見せることだと思う。文化とは、人間を人間らしく作るもの、社会を社会らしく作るもの、国家を国家らしく作るもの」との信念を持つ。


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 行事に参席し、韓国文化について話しをするが、時間が足りない。昨年4月の最初の講演を皮切りに1年間で9回行った。参加者は大半が日本人だ。テーマも広範にわたる。韓国を理解しようとする人のために「講演は続けます」と話す。

 就任から1年半余で名刺を交したのは3800人。時間の許す限り規模の大小を問わず行事に顔を出す。

 「有名な文化人の後ろに隠れている才能の持ち主がいると思う。そういう人を励ますことで才能が伸びるのであれば、私の役割は大事」だと、文化院長の役割のもう一つの顔をのぞかせた。

 「自分は運のいい人間」だと話す。昨年12月、客員研究員として在籍した大正大学から、文化院長に就任して以降の活動と、同校の名誉を高めた功績が認められ名誉文学博士学位が授与された。

 「文化の世紀と言われる21世紀を迎え、韓国文化を日本にもっと広めたい。韓国と日本は素晴らしい伝統文化を持っている。両国がお互いに協力して素晴らしい作品を作り、西洋に文化発信したい」と笑顔で自身の希望を語ってくれた。

(2001.02.07 民団新聞)



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