| 強制徴用の貴重な資料史跡として 保存を求めている 高槻むくげの会の金事務局長 (タチソの入り口で) |
道路公団・安全性調査し検討
【大阪】大阪府高槻市北部を通る第2名神高速道路建設予定地内の一部に、解放直前、強制徴用された同胞約3500人によって建設されたとされる地下トンネルが残っている可能性が高まり、日本道路公団(JH)が現地調査を開始した。
この地下トンネルは旧日本陸軍によって掘られたもので、完成直前に日本が敗戦した。この地域の地下調査は初めてで、このまま着工すると完成後に道路が陥没する恐れがあるという。
トンネルの保存活動に取り組む「高槻むくげの会」(李敬宰会長)の金博明事務局長は「多くの同胞がひどい目にあい、犠牲者になった場所でもある。貴重な戦争の史跡としてぜひ保存して欲しい」と要望している。
JHが調査対象とするのは、第2名神自動車道インターチェンジ付近の同市成合山中にある「第一区」と呼ばれる直径約500メートルの範囲で、地下トンネルの入り口が4カ所確認されているほか、通気口とみられる縦穴跡も見つかっている。
米軍の資料や証言によると、地下トンネルは「高槻地下倉庫」の略称である「タチソ」と呼ばれ、直径約四メートルのアーチ状のトンネル約20本が、碁盤目のように縦横に結ばれており、総延長は3q以上になるとみられる。今では採石場に転用されるなどし、かなりの部分が壊されたり土砂で埋まったりしたという。JHによると、資料をもとにボーリングや電磁波による空洞調査を実施、トンネルの存在を確認しつつ、必要があれば追加調査も行う。終了は3月末の予定。
JH大阪工事事務所では「保存できるかどうかは、安全性の判断を待たなければ何とも言えず、調査後はむくげの会や高槻タチソ戦跡保存の会との話し合いを行いたい」としている。
第2名神高速道路‥名古屋−神戸市間を結ぶ総延長約175qの高速道路。名神高速道路の渋滞緩和などを目指す。今世紀前半の開通に向け、一部区間のトンネルなどは貫通している。
(2001.02.21 民団新聞)
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