民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
史実歪める記述を憂慮

日本人研究者が日本教科書批判



 歴史学研究会と歴史教育者協議会、子どもと教科書全国ネット21の3団体は15日、東京の日本教育会館で記者会見し、「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長)が日本文部省に検定申請中の中学校用図書「歴史的分野」について、「史実を歪める」記述内容だと憂慮の意を表明した。

 同アピールには15日現在、全国の歴史研究者・教育者889人から賛同の署名が寄せられているという。記者会見には呼びかけ人を代表して浜林正夫一橋大学名誉教授、歴史教育者協議会(松島栄一委員長)の石山久男事務局長、子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長の3人が出席した。

 席上、浜林名誉教授は、問題点として(1)記紀神話を歴史的事実であるかのように記述している(2)アジア太平洋戦争を侵略戦争としてではなく「アジア民族解放戦争」として描いている−の2点を指摘。「このような『教科書』に歴史教育をゆだねることはできない」と強調した。

 これは、日本では戦前・戦中の「皇国史観」の反省に立ち、「歴史は科学である」との立場から歴史学と歴史教育を結びつけてきた経緯があるからだ。日本歴史学協会でも1952年から今日まで一貫して「紀元節」の復活に反対してきたいきさつがある。

 「つくる会」の検定申請本「歴史的分野」は現在、日本文部省で最終的な検定作業が進められており、3月には出版社に合否が通知される。

 合格すれば2002年度からの中学校歴史教科書として制作・販売される見込み。

(2001.02.21 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ