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第6回海外韓民族代表者大会

21世紀、600万海外同胞のネットワークを



14、15の両日、都内で開かれた
海外韓民族代表者大会

■共通課題解決へ 力一つに対処
 祖国統一の先駆的役割も

 「21世紀、海外韓民族雄飛の時代を拓こう」をメインテーマに、36カ国(委任15カ国含む)約700人の代表が参加した第六回海外韓民族代表者大会。大会では各国の意見発表、運営委員会と5つの分科委員会によるテーマ別討議を通じて、(1)祖国統一参与(2)海外同胞ネットワーク構築(3)各国同胞の地位向上と人権伸張―に共同努力などを確認した。また、次回は2003年に韓国人移住100周年を迎えるハワイで開くことを内定した。

 同大会は、海外韓民族代表者協議会(会長・金宰淑民団中央本部団長)が主催。同協議会は87年に当時の民団中央本部団長だった朴炳憲名誉会長(民団中央本部常任顧問)の呼びかけで結成された。

 第1回韓民族大会は同年5月に東京で開催。その後、米国ワシントン(89年)、ドイツ・ベルリン(91年)、ソウル(93年)、ワシントン(96年)と継続開催し、各大会ごとにその情勢に見合った協力方案を謳った決議文や宣言文を発表してきた。

 15日、午前中に行われた開会式で海外韓民族代表者協議会の金宰淑会長は、あいさつを通じ「今われわれは新たな挑戦と飛躍の21世紀を迎えた。人権と平和をベースにした人類共生共栄の『人間の世紀』にしなければなならい」と強調しながら、(1)祖国平和統一への架け橋的役割(2)韓半島の経済発展へ寄与(3)祖国と居住国の親善交流増進へ橋渡し(4)各国同胞の居住国における法的地位向上と民族教育推進(5)海外同胞の連帯強化と各分野でのネットワーク構築―の5点を提起した。

 また、開会辞で朴炳憲名誉会長は、協議会結成当時を振り返りながら「十四年ぶりの日本大会がこのように盛大に開かれ、初代会長としても感無量」としながら、「異国の地で苦難を乗り越え、裸一貫から今日の土台を築いてきたみなさん。今後、次世代たちに住みやすい生活基盤を残していくことがわれわれ一世世代の責務だ」と呼びかけた。

 米州韓人会総連合の金吉男会長も「海外同胞の知恵と力量をひとつにし、21世紀を韓民族の時代にしよう」と述べた。

 開会式に続く全体会議では各国の代表が民族教育、経済協力、海外同胞女性ネットワーク、地域社会への貢献などについて意見を発表。各国同胞社会が抱える実情や成功例などが紹介された。

 この後、(1)統一(2)経済(3)民族教育(4)権益擁護(5)ネットワークの5つの分科会に分かれ、(1)南北和解協力時代の海外同胞の寄与(2)韓半島の経済発展と海外同胞の役割(3)21世紀をにらんだ次世代の育成と民族教育(4)海外同胞の地位向上と権益擁護(5)海外韓民族ネットワーク構築―の5つをテーマに、各国同胞相互の協力・連帯方案を具体的に話し合った。

 また、今大会には約150人の女性が参加したことから、在日韓国婦人会主催による「各国女性指導者懇談会」も行われ、各国同胞女性リーダーのネットワークをテーマにした意見交換会も行った。

 これら、各国意見発表、分科委員会、運営委員会を経た2度目の全体会議で、(1)祖国統一に積極参与(2)海外同胞商工人ネットワーク構築(3)各国同胞の地位向上と人権伸張に努力(4)民族教育尽力と日本の歴史教科書をはじめとする居住国における韓民族の歴史歪曲是正へ結束(5)韓民族ネットワークの構築(6)本国政府に各国同胞の支援要請―の6項目を決議した。

 また、本国政府に対し(1)分散されている在外同胞業務の統括・一元化と支援の強化(2)「在外同胞財団」の予算を大幅に増額、などを「海外韓民族代表者大会」の名前で建議することを決め、近く代表団を構成し、本国政府に正式に伝達することにした。


決議文を満場一致で
採択する参加者

■本国からの来賓も力強い激励
 「在日同胞は力」
 金大中大統領もメッセージ

 第六回海外韓民族代表者大会には、朴相千・民主党最高委員、朴明煥統一外交通商委員長、権丙鉉・在外同胞財団理事長をはじめ、柳在幹・海外僑胞問題理事長、金ギョンジェ、李ナギョン、金イクマン専門委員など、国会議員や海外同胞問題専門人士多数のほか、崔相龍駐日韓国大使が参席し、各国代表者を激励した。

 金大中大統領はメッセージを通じて(崔大使代読)「民族和解と共同繁栄の21世紀を開いていくために各国同胞指導者の積極的な声援と発展的役割を期待している」とし、「私は『在外同胞は国力』と捉えており、在外同胞の権益向上と同胞社会活性化にいかなる努力も惜しまない。在外同胞財団を通じた支援も拡大していきたい」と表明した。また、「この大会が六百万海外同胞社会の新たな飛躍と韓民族共同体への発展に向けた意義深いものになることを期待している」と激励した。

 朴相千最高委員は祖国の先進国化と統一にこれまで以上の先駆的な役割を果たしてほしいと呼びかけながら、在日同胞の地方参政権を早期実現させるためにも秋の韓国国会で在韓定住外国人の地方選挙権付与法案を成立させることを明示した。また、国際問題化している日本の歴史教科書についても是正を強く要請していくことを示した。

 在外同胞財団の権丙鉉理事長や韓国の各議員も「世界の同胞がひとつになり韓民族共同体の実現を」と呼びかけた。

 また、崔相龍大使と李光奎ソウル大名誉教授による基調講演も行われた。


■各分野で協力体制
 経済・権益など5分科委員会で方案討議

 統一分科委員会(委員長=李栄昌・欧州韓人会総連合会名誉会長)では南北離散家族の面会所設置、30万人と推定される海外離散家族の再会などを本国政府に提議していくことを確認した。

 経済分科委員会(委員長=慎栄樹・中国韓国人会会長)では祖国の経済発展へ海外同胞経済人の効果的な投資・参与に向けた本国政府への各種規制緩和要請、各国経済人ネットワーク構築などを提起した。

 民族教育分科委員会(委員長=韓成澤・カナダ韓人会前会長)では家庭内民族教育の強化、インターネットを通じた民族教育、日本の歴史教科書是正要求のほか、本国政府に対して一貫性のある教材制作、海外同胞教育センター設立などを建議していこうと提起した。

 権益擁護分科委員会(委員長=徐英達・桃山学院大教授)では、公務員就職など国籍差別の撤廃、在外同胞文化教育センター設立のほか、在日同胞の地方参政権実現へ国連への要望や署名運動など、各国で世論喚起していくことなどを提起した。

 ネットワーク分科委員会(委員長=チョン・セグォン・米国指導委員)では、インターネットを通じた海外同胞ネットワークの構築をメインに、各国同胞指導者のEメールアドレス帳作成などを提起した。

 14、15の両日、同大会では2度にわたって運営委員・各国会長会議が行われ、決議文、本国政府への建議事項、次期開催地と日時などを討議した。


次回開催が内定したハワイでの
再会を誓い万歳三唱する参加者

■女性リーダーの連帯図る交流会開く

 今大会には約150人の女性が参加。共通の悩みや協力体制を図るため、各国同胞女性リーダーのネットワークをテーマにした「女性指導者懇談会」が行われた。これは在日韓国婦人会が音頭をとったもの。

 同じ女性リーダーとして、またオモニとして、それぞれの子育てや教育、文化活動等が紹介され、今後も各国女性リーダーの連帯を図っていくことを確認した。

 定期的な交流と次回大会でも懇談会を開催することで満場一致。役員構成も行った。


■海外参加者、鬼怒川で交流会も

 第6回海外韓民族代表者大会には日本、米国と欧州各国をはじめロシアや中国等からも多数が参加したほか、南米のチリやアジア諸国からインド、台湾、インドネシアなども参加した。

 東京に集まった各国代表は会議のほか、14日は民団主催による歓迎パーティ、15日の大使主催午餐会、米国韓人会主催の歓送パーティなどを通じて活発な交歓が行われた。また16、17日、民団招待の栃木県日光、鬼怒川の温泉観光を楽しんだ。特にお別れパーティでは全員が浴衣姿に統一。

 パーティ会場のあちこちで懇談や記念写真が続けられ、二年後の再会を誓い合っていた。


今大会では初の女性リーダー
懇談会が行われた

●《第6回海外韓民族代表者大会決議文》●

 21世紀を迎えた歴史的な転換期の今、世界各国の韓人会指導者一同は、東京で第6回海外韓民族代表者大会を開き、祖国の平和統一問題とわれわれの当面する共通課題を真摯に論議した。われわれはその課業実践に向け600万海外同胞の意志と力量を集め、以下の通り決議する。


 ◇ ◇ ◇


 一、われわれは韓半島の平和定着と南北間の和解・協力を通じた祖国平和統一運動に積極参与していくことを誓い、当面、非武装地帯に「平和の公園」(離散家族面会所と南北交流の広場)を設置するよう南北当局に呼びかけ、海外同胞としてこれの実現に向け応分の努力をしていく。

 一、われわれは地球村の無限競争の高波に能動的に対処していくため、各居住国での経済基盤を確固にしていくと共に、経済人組織を充実化し、海外韓民族経済人ネットワークの構築に向け相互協力し、韓国内企業と連携し南北の経済発展に寄与していくことを誓う。

 一、われわれは居住国社会との共生共栄に向けて、より貢献し祖国と居住国との親善交流への架け橋的役割を一層強化し、海外同胞社会の地位向上と人権伸張に努力していくことを誓う。あわせてこれに対する韓国政府の積極的支援を求める。

 一、われわれは次世代の民族教育が何よりも急務だと認識を共にし、居住国での韓国語教育と民族文化継承事業に一層尽力する。日本の教科書問題をはじめとする居住国における韓民族に対する歴史歪曲と誤った認識を是正させるため海外同胞は結束し努力していく。

 一、海外同胞次世代の交流を実施し、IT時代を迎えた21世紀の海外韓民族共同体の将来に向けて、すべての分野でネットワークを構築していくことを誓う。

 一、われわれは祖国の限りない繁栄と600万海外同胞の健全な発展及び居住国における社会的地位向上に向けて、心をひとつにし継続努力していくことを誓い、韓国政府のより温かい保護と積極的な支援を要請する。


■意見発表の内容(要旨)■

◆民団会長団時代と美州総聯時代を考える
 在欧州韓人総聯合会名誉会長 李 ヨンチャン

 21世紀が逆らうことのできない世界化の時代であるならば、世界各地にばらばらに住んでいながらもアイデンティティを忘れることなく自尊心を守りながら生きている我々600万の海外韓民族こそ世界人であると同時に21世紀の世界中心国家を目指す統一韓国を成し遂げるための民族資産であります。

 未来学者達は21世紀を「アジア・太平洋時代」と言っています。我々韓民族はその主役となりうる民族です。我々はこれを確認し、祖国の繁栄と統一に向けその推進力になりましょう。


◆民族教育に対する考え
 カナダ韓人会総連合会会長チャン インヨン

 生まれ育った国が母国であり故国です。しかし、育ててくれた父母の故国が祖国であるということがわかったとき二つの国家に対した愛情は同じ位になりうるでしょう。真正なる「民族精神」を植えつける過程を「民族教育」と言えるでしょう。言語や風習と社会的観念がまるで異なった状況でまたそれにも付け加えて物質的であったり精神的な支援が難しい条件での民族精神を育てることは決して簡単な事ではありません。民族精神を伝える手段として言語や文章、絵または音楽、舞踊そして風習や生活様式などを伝授するため世界各地に定着した同胞社会はハングル学校などを運営して「民族教育」を担当しているのです。

 国の国力は既に制限された国土の中で生産される力だけでなす事はできません。世界で蓄積されていく力が集まったとき真正な威力が発生され地球の至る所で様々な方法によって育った底力を私達の祖国が必要とする時、いつでも一つに結集できるように民族教育を通じた民族精神という共通点を育てなければならないと思います。


◆21世紀に向けた次世代育成と民族文化教育運動方案
 在豪州シドニー韓人会会長 李 ジェギョン

 我々の子々孫々の発展は次世代にあった育成だと思います。その方法として次世代の交流拡大を増進していかねばなりません。在美同胞が在豪同胞を訪ねたり、在豪同胞が在日を訪ねることによって韓民族の伝統であり、自慢でもある相互協同と相互理解を増進することによって次世代の幅広い力を蓄積して21世紀を賢く迎えなければなりません。

 また民族文化教育運動を拡散しなければなりません。世界で有名な高麗磁器の技術やハングルの優秀性などがどれほど優秀であるかということを次世代に伝えていくため民族文化教育は韓国を訪問するといったうわべだけの教育ではなく全ての同胞子女が一定の年になったらだれでも受けることのできる教育プログラムが研究されなければならないと思います。


◆世界韓民族女性ネットワーク
 在日韓国婦人会中央本部会長 夫 順 末

 女性の立場からの提議として南北韓の女性は平和の操縦士として新たな時代を主導し、南北和合協力に先頭に立って平和と繁栄の韓半島時代を開く偉大な義務と役割を与えられています。段階的に心の扉を開けて相手を理解し、聞き、論議し、相手の立場で考え「南北女性対話共同体」を形成し、民族愛の統合的な生き方を模索していくことを提議いたします。

 私たちは20世紀に生まれた女性共同体として男尊女卑の時代を経験した同志です。多年間同じ運命で正しい判断力と正義と偉大な包容があったため今日の女性時代を迎えることができたと思います。

 その真正な力はこの厳しい地球化の波の前に私たちだけが持ち、そして支えられるものです。世界中どこでも女性は多様な社会進出で社会変革の役割をしています。

 このような貴重な時代に今日の出会いは偶然でないということを大切にして、今こそ「世界韓民族女性ネットワーク」の結成を提議致します。


◆祖国統一後の文化教育の実態と進路
 美州韓人会総聯合会政策審議委員会首席副議長 金 ホウォン

 南北間の言語の違いは約50年という距離がある。統一後、同族同志の異質的な文化教育をどのように合理化させ統一した文化教育指針を一元化させるか課題は至急である。去る50年間南北間において使用している多くの用語が同じ単語で同じ表現を使ってはいるが、その意味は全然違うというところに問題点がある。このような難題を前進全力で解決する方法を講じなければならないだろう。特に南北間の事業家間では契約関係など相互誤解が生じないよう問題をスムーズに解決しなければならないという点が重要視される。

(2001.03.21 民団新聞)



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