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同胞過疎地でが本名宣言

兵庫県篠山市の小学生・金吾潤君



本人の意思尊重、学校も支援約束

 【兵庫】兵庫県篠山市の味間小学校(中西節校長)に通う四年生の同胞児童がこのほど、通名・市岡弘行を改め「これからは僕をキム・オユン(金吾潤)と呼んで下さい」と本名宣言した。

 同胞多住地域では決して珍しい話ではないが、同市は同胞の過疎地域で、4年生では金君を含め在日児童はたった2人。このような環境の中で、2つの名前があることに違和感を持ち始め、自ら希望して韓国名を名乗りたいという金君の意思を学校側も尊重した。

 幼い児童の決心で、民族や国籍の違いに対する差別、偏見をなくしていこうという意識がクラスから学校へ、学校から父母、地域へと大きく広がり始めた。母親のペ秋子さんによると、同地域に引っ越してくる前まで、兄弟や秋子さん自身も民族学校に通っていたこともあり、家庭ではウリマルが自然に飛び交う環境にあったからでは、と話している。

 2学期の授業参観の日、図工の時間に吾潤君は作品にハングルで本名を記した。わが子のあまりの唐突な行動に、秋子さんは思わず身震いしたという。2学期の終わり頃、吾潤君は「3学期からは、キム・オユンと名乗りたい」と秋子さんに話し、クラスでも今まで自分を日本人だと思っていた多くの友だちに、自ら本名を名乗り出た。

 学校側は母親と本人の希望を受けて、2月から名簿、書類、名札、氏名を全て韓国名に変更。全校生徒にも朝礼で発表し、全ての児童が「オユン君」と呼ぶようになった。担任の小田環先生は「オユン君が下した大きな決断を大事にし、人権学習などを通じてクラス、学年、学校全体でその気持ちを支えていきたい」と話している。

(2001.03.21 民団新聞)



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