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今度こそ「地方選挙権」成立を



 2001年度の予算案成立の目途が立った先月下旬、公明党幹部は森喜朗首相に「これ以上、採決を先送りすべきでない」として、永住外国人地方自治体選挙権法案の早期審議入りと成立を求めました。

 これは、森首相が総裁を務める自民党内の早期取りまとめと今国会での採決を強く要請したものです。本団は、この間先送りさせてきた自民党が今国会でどう調整し、結論を出すのか、注目せざるを得ません。


■日本にとっての意義と課題

 公明党幹部は、永住外国人地方参政権法案の成立は与党3党の合意事項であること、また自民党内の最近の動きを踏まえた上で、「諸般の事情もあり、自民党内の党議不拘束を検討するよう」、改めて森首相に要請しています。

 法案は、三度目となった昨年11月の臨時国会の審議の結果、いつ採決してもよい段階にまで至っています。これはこの間の本団の運動と、賛同する多くの日本国民と自治体の支援があったからこそです。

 先の国会では、遺憾ながら本団が強く要望していた「20世紀中の実現」は、一部の反対勢力によってなりませんでした。今国会で、もしまた再び先送りされるなら、先進国日本の民主主義の将来に対する定住外国人の期待は極めて少なくなることでしょう。そのような事態にならないよう今国会での成立を私たちは強く望んでいます。

 最高裁が「違憲ではなく、許容される」とした、地方自治体レベルにおける永住外国人の選挙権、いわゆる「住民権」を認めようとしない一部の硬直した国家主義的な動きと、それに同調する議員に私たちは失望の念を禁じえません。

 私たちを同じ住民として認め、政府に立法措置を求める千五百近い自治体の意見書採択と、平均して65%の賛同がある各種世論調査を国会はもっと尊重すべきであります。民主主義の根幹は、選択のチャンスがあること、また参加できることだと言います。

 永住外国人の地方参政権は、これからの日本国家のあり方を問うものです。日本が単一民族国家観を超え、開かれた国になるのか、私たちのみならず世界が注目しています。その意味で、この問題は、国会審議で保守党幹部が言ったように、「日本人の心の鎖国を解く黒船」でもあるといえます。


■「すり替え」は容認できない

 最近、永住外国人の地方参政権問題を、帰化要件の緩和だけで済ませようとする動きがあることに対し、私たちは強い憤りを禁じえません。この帰化要件緩和の動きが永住外国人に地方自治体選挙権を付与しないための代替措置として出ているなら、それは問題の「すり替え」であり、私たちは到底容認できるものではありません。

 永住外国人への地方自治体選挙権付与法案が採決の段階に至ったこの時期に、日本国籍取得要件緩和措置法案の問題が出てきたこと自体が、「参政権つぶし」と見られても仕方のないものです。

 本団が推進する永住外国人地方選挙権の成立が最優先であり、これが否定されるなら、本団は帰化要件緩和措置を決して認めることはできません。

 永住外国人が「住民権」を行使するのに、半世紀前の規定である「帰化」によってしか選択肢がないというのは、健全な民主主義社会とは言えず、また安全保障を理由に外国人住民の権利が否定されるべきではないでしょう。このことを日本の進路に責任のある人たちはしっかりと理解し、地方参政権法案の成立に筋道をつけるべきです。

(2001.04.11 民団新聞)



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