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慎武宏の韓国サッカーレポート

<アジアの虎の鼓動>人気再熱のKリーグ



3月25日から開幕した
Kリーグ・アディダスカップ
(写真は4/15の釜山アイコンス
VS大田シチズン)

■□
大きいヒディンク効果
GWの観戦、強く勧めたい

 韓国がサッカー人気で沸いている。3月下旬から4月上旬にかけて、韓国と日本の間を2回も往復して現地の盛り上がりを取材してきたが、テレビ、ラジオ、スポーツ新聞などでサッカーの話題がいつになく大きく扱われている。


◆年間300人突破も

 とりわけ、国内プロリーグのKリーグ人気が好調だ。3月25日から開幕した組分けカップ戦「アディダスカップ」は、サッカーファンの熱気があふれる中で行われている。このままの勢いなら、「史上初の年間観客動員数300万人突破も夢ではない」とされているほどだ。

 そもそもKリーグは、1983年5月に誕生した。つまり、Jリーグよりも10年早くスタートしたわけだが、最初はプロ二チームと実業団3チームの変則的な複合リーグとしてのスタートで、名称も「スーパーリーグ」だった。

 純粋なプロチームだけで構成されるようになったのは87年からだ。94年からは毎年のようにチームが増え、97年に現在の10チーム体制となったが、優勝決定方法がコロコロと変わるリーグ戦方式などはファンの混乱を招き、1時は深刻な人気低迷にも苦しんだ。

 そんな状況を打破しようと、96年に愛称を「Kリーグ」に統一するなど、韓国プロサッカー連盟は大々的なCI活動を展開した。

 首都圏に偏重していたフランチャイズも地方に分散し、チーム名を「地域+企業+愛称」にするよう定めて地域密着色も強化した。

 この結果、現在のKリーグは、富川SK、安養LGチータース、水原三星ブルーウイングス、城南一和チョンマ、大田シチズン、全北現代モータース、浦項スティーラーズ、蔚山現代ホランイ、全南ドラゴンズ、釜山アイコンスの10チーム体制で運営されている。


◆新世代スター台頭

 そして98年夏、Kリーグ人気は一気に爆発した。この夏、韓国はフランスW杯で惨敗を喫し、Kリーグのさらなる人気低迷が懸念されていた。しかし、李東國、安貞桓、高宗秀ら新世代スター選手の台頭と、続々と誕生した各チームのサポータークラブの働きかけでスタジアムに熱気が戻ったのだ。

 史上初めて年間客動員数200万人を突破し、その勢いに乗って99年度も260万人以上の観客動員を記録した。

 ところが、昨年のKリーグ人気は年間で211万人しか動員できないほどにトーンダウン。人気低下の原因はさまざまだった。

 例えばシドニー五輪やアジアカップでの代表チームの不振だ。それがKリーグ人気に悪影響を及ぼしたという事実は否めない。

 水原や浦項といった人気チームの成績不振も観客動員に響いた。安貞桓らスター選手の海外進出も、その要因のひとつだろう。

 実際、今季開幕前もKリーグ人気のさらなる地盤沈下が心配されていた。李東國、崔龍洙らが海外移籍し、城南一和が理不尽な理由で地元から本拠地移転要求を迫られる問題も勃発。開幕前から悪いニュースが続いた。

 しかし、フタを開けてみれば人気再燃。その理由について、Kリーグの金元東GMは次のように話す。

 「人気再燃の理由のひとつはフース・ヒディンク監督だ。今や韓国のニュースメーカーとなっている“ヒディンク効果”で、人々の関心がサッカーに集中している。W杯を1年後に控えたプレ・イヤーということも大きい。今年のKリーグは盛り上がりそうだ」

 そのKリーグは、目下、アディダスカップの真っ最中。全十チームがA、Bの各組五チームずつに分かれてホーム&アウェイを実施したあと、各組の上位2チームがトーナメント戦で優勝を決める。同大会は、5月2日まで水曜、土曜(日曜)に予選リーグが行われるよう日程を組んでいる。

 そして、5月5日から上位4チームよる準決勝が行われ、その勝者が5月9日と13日にホーム&アウェイで決勝戦を戦う。


◆下位チームが奮闘

 昨年は富川SKが優勝に輝いた。しかし、今年はそのディフェンディングチャンピオンが絶不調。代わって、釜山アイコンス、大田シチズンなど、昨季は下位に低迷したチームが奮闘している。

 まさに捲土重来のシーズンの予感。それもまた、Kリーグ人気再燃の要素のひとつになっているのもかもしれない。

 それだけに今年のゴールデンウイークはKリーグ観戦を強くお勧めしたい。

 成田から仁川までのフライト時間は2時間とちょっと。韓国は決して遠くはない。

慎武宏(スポーツライター)

(2001.04.18 民団新聞)



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