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在日文化の創造に意欲
庶民レベルで韓国理解推進
先月、在日韓国人文化芸術協会(文芸協)の第四代会長に就任した金好植さん(59)。82年発足当時のメンバーとして携わってきた一方、岡宏&クリア・トーンズ・オーケストラのリーダーとして精力的な活動をしている。確固たる持論を持ちながら今後、在日の文化を創り日本社会に広げていきたいと意欲を見せる。
今まで余裕のない中での“文化”だから思うような活動ができない、そしてそれを支えていく組織そのものがない―。「文化=余裕」が持論。在日韓国人社会の中にも多少なりの余裕が出てきた。「そろそろ本物の文化を追求していける時期ではないか」と目を輝かす。
この間、同胞社会の中の文化・芸術の動向をつぶさに見てきた。その中である思いに到達した。例えば、「総連側の金剛山歌劇団に対抗できるもの、そして誇れるものは何か」ということ。
現実を真摯に受け止めているからこそ、やるべきことが見えてくる。そしてもう一つのこだわりは、「日本人社会に、韓国人というものを肌で感じて理解してもらう形」を作って広めることだ。
「自分が今まで感じた中で最近韓国人を本当に好きな日本人は全体の一%から五%くらいしかいない」と率直に語る。
「それは韓国人のことを知らないから。自分たちの文化を創造して広げること、そこで初めて交流が芽生える」
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東京の浅草生でまれた。生活のために始めた音楽。独学で習得したアルトサックスを手に16歳の時からアルバイトでキャバレーに出た。大学在学中、ビクターオーケストラの専属となりプロとしてスタート。74年、今のオーケストラを結成した。
1970年代、初めて韓国の地を踏んだ時、血が煮えたぎるような感じだった。しかし、祖国の印象は当時の日本の発展に比べ「情けない国」と目にうつった。同時に「何とかしなくては」と正義感が頭をもたげたという。
「国のため」に自分のできること。この精神は、30年以上続けた「八・一五光復節記念式典」でもボランティアという形で生かされた。
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98年と99年、文芸協主催で「アリランの旅人」「演歌の源流を訪ねて」と題する公演を行った。「アリラン…」では進行役を務め、出演者に「アリランって何なの」と問うている。「アリランって…」を突破口に、「韓国人て何なの」という問いかけを日本人に理解してもらう意味が込められている。
自身の出した結論は「アリランは壁」。人間の間のわだかまり。韓国と日本も「アリラン」。皆が「アリラン峠」を越えられるようにしたいと切望する。これは幼い頃から韓国人であるがゆえに、幾度も辛い経験をしたという体験によって、培われていった強烈な思いなのだろう。今秋か来春、さらに充実した内容での公演を計画している。
「共存共栄の基盤を庶民レベルで作っていきたい」。そのためにも協会が寄付だけで運営をするのではなく、独立採算の形で収益を上げ、その収益の中で何の拘束を受けず既成ではない独自の文化を創造して発信していく道を模索している。同時に時代の変化に伴って、帰化した人や朝鮮総連系の文化人・芸術関係者の結集も視野に入れている。
(2001.05.30 民団新聞)
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