民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
力結集し次期国会で必ず成立を

金宰淑団長が結集同胞に呼びかけ



決起した4000人の同胞に
「次期国会で必ず成立させるよう、
強く訴えましょう!」
呼びかける金宰淑団長

「6・5全国決起集会」の実行委員長である
金宰淑民団中央本部団長が述べた挨拶文は以下の通り。

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 日本全国から遠路をいとわず地方参政権獲得のために駆けつけていただいた、同胞の皆さん! 永住外国人の皆さん! 良識ある日本市民の皆さん!

 心より、皆さんに敬意を表したいと思います。

 本日、国会に近いこの日比谷野外音楽堂で、多くの賛同する市民団体とともに、「永住外国人に地方選挙権を!6・5全国決起大会」を実施できますことを、主催者として誠に意義深く思うものであります。

 皆さん! 1週間前の5月29日、自民、公明両党は衆議院議長が仲介する形で永住外国人地方選挙権付与法案について、今国会で採決せず次期国会以降に継続審議とすることで一致した、と明らかにしました。

 先の臨時国会で採決の段階にまで審議が進み、今通常国会での成立を期待していた本団としては、裏切られた気持ちであり誠に残念でなりません。

 1月末から始まった今期国会もすでに4カ月が経ち、余すところ3週間しかありません。一度も実質審議することなく継続審議に取り決めたことは、私たちの強い期待と願いを踏みにじるものであります。

 私たちは、これ以上、黙っているわけにはいきません!

 本日の決起大会は、市民団体と連帯した大規模な全団的行動であります。私たちの意思と力量を結集し、地方選挙権法案の立法化を勝ち取りましょう!

 本団は、87年3月、韓・日政府による在日韓国人の法的地位協定改定の要望事項の一つとして、「地方参政権の付与」を打ち出し、地方自治体選挙への参加を要求する活動を全国的に開始して、はや、14年が経ちました。

 94年4月、本団は名称・綱領から「居留」を削除し、いわゆる「定住」宣言をすると同時に、「住民として」生活していくために必要な「地方参政権」の獲得を最優先課題とし、今日まで積極的に運動を進めてきました。

その時からでもすでに、7年が過ぎました。

 親愛なる同胞の皆さん! 良識ある日本市民の皆さん!

 この間、私たちが推進してきた地方参政権運動は、私たちが在日韓国人として、永住外国人として、日本の地で差別なく、堂々と生きていくために必要な「住民権」運動として、粘り強く運動をやってきました。

 私たちの運動によって、この数年来、外国人住民の地方参政権問題は、内外の世論を大きく喚起し、今や私たち当事者だけの問題ではなくなりました。日本の果たすべき国際化、民主主義の成熟、外国人との共生というグローバルな時代を迎えた、これからの日本国家のあり方が問われているものでもあります。したがって、広く日本社会、日本人自身が共に解決していくべき大きな課題であります。

 この間の私たちの運動の成果によって、永住外国人の地方選挙権法案は、98年10月に初めて国会に上程され、翌年の8月には初めて国会で審議されました。

 昨年5月、国会で二度目の審議がなされ、同じく11月には、三度目の審議と参考人聴取も行われ、いよいよ採決してもよい状況が整ってきました。そのような中で、私たちは今期国会で、今度こそ法案が成立するものと強く期待していました。しかし、一方的に継続審議とされました。

 皆さん! この度の採決見送りは、法案の廃案を画策した、無理解と偏見に満ちた勢力の策動によるところ大である点、私たちとしては憂慮せざるを得ません。

 法案を否決しようという動きは、日本の真の国際化にブレーキをかけるものであり、民主主義の成熟した「開かれた社会」を希求する、すべての外国人住民と良識ある日本市民を失望させるものです。

 この法案の反対勢力は、永住外国人住民に地方自治体選挙権を付与しても違憲ではないとした、95年の最高裁判決を不当に傍論とおとしめています。

 また、私たちを同じ住民として認め、93年以来、政府や国会に立法化を求めてきた、約1500に上る地方自治体議会の意見書採択の実績や、過半数を超える賛同を示しているここ数年来の世論調査の結果など、この間私たちが地道に積み上げてきた「住民」としての努力の成果を不当に無視するものであります。私たちは怒りの念に堪えません。

 99年の与党3党の政権合意で「法案を成立させる」とした公党間の約束が履行されず、98年以来、韓日首脳会談で幾度も実現に向け前向きに努力するとした日本側首脳の言辞が実現に移されないことに、私たちは失望の念を禁じえません。

 さらに、今回の継続審議の背景には、永住外国人住民の正当な「住民権」を保証することになるこの法案の成立を望まず、いわゆる帰化制度の緩和策によってのみこの問題を処理しようという、一連の動きがあることも否定できません。

 国籍の強要と外国人の「住民権」を認めようとしない露骨な排外主義につながる動きに対し、私たちは深い憂慮の念を禁じえず、強く抗議するものであります。

 皆さん! 私たちは、これ以上の先送りには、断固反対するものであります。

 私たちは、次期国会で必ずや法案が成立するよう、各政党の真摯な取り組みと賢明なる処置、そして立法化への硬い確約を強く要求するものであります。

 親愛なる皆さん!

 本日の決起大会と国会請願、デモ行進を契機に、私たちの意思と力量を結集し、また市民運動の輪をますます大きく拡げて行きましょう。

 金大中大統領は、98年、日本の国会で次のように演説しました。

 「私はまた、60万在日韓国人の未来を考えざるを得ません。彼らが今後、日本社会により多く貢献できる立派な構成員となりうるよう、制度的条件と社会的雰囲気がさらに改善されることを心より念じてやみません。特に、地方参政権の獲得が早期に実現できれば、在日韓国人だけでなく、韓国国民も大いに喜び、世界も、日本の開かれた政策を積極的に歓迎してやまないでしょう」と。

 皆さん! 今日、私たちの総意と日本市民の良識を結集し、国会への請願活動と、デモ行進を成功させましょう! これ以上、日本政府や各政党が法案を先送りすることなく、次期国会で必ず成立させるよう、強く訴えましょう!

 あらゆる逆境をはねのけ、「住民」として地方参政権を勝ち取るその日まで、力を合わせて、共に頑張りましょう!

(2001.06.06 民団新聞)



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