民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
「帰化緩和法案」の狙いは参政権つぶし

同胞市民団体が反対集会



韓国側と日本側に分かれての討論も

 日本政府与党内で検討されている永住外国人の国籍取得緩和法案に反対する同胞・市民団体が2日、東京・千代田区の在日韓国YMCAで討論集会を開き、「絶対阻止」の姿勢を鮮明に打ち出した。会場は主催者側の予想を上回る160人で埋まり、席が足りなくなる盛況ぶりだった。

 冒頭、主催者団体を代表して金静伊さんは「法案が外国人の参政権法案つぶしにあることは明らかだ。1952年の一方的な国籍はく奪に対する責任逃れでもあり、とうてい認められない。国会では特別永住者の歴史的背景に見合う権利を保障していくための論議を望みたい」と強調した。

 在日韓国人問題研究所の佐藤信行さんも1952年当時にさかのぼって在日韓国人の権利保障をするべきだと述べた。その理由として(1)1952年当時、国籍選択権を保障しなかった(2)国籍をはく奪しながら日本国民と同等の市民権を与えなかった―ことを挙げた。

 一方、集会に出席した複数の在日同胞弁護士からは「法律家として反対するのは難しい」との声も出た。在日同胞社会の一部からも「反対しにくい」との声が出ているという。これに対して、日本の戸籍制度に詳しい佐藤文明さんは「(国籍取得緩和法案は)どういっても帰化であり、民族性のはく奪でしかない。これまでしっかり批判してこなかったことに問題がある」と述べた。

 討論では「もしこのまま法案が通って、明日から届け出だけで日本国籍を取れるとなったら国籍的には激減してしまう」と心配する声も出た。これには夫婦別姓問題などクリアすべき問題もいくつかあるだけに、「法務官僚からの反対の声が抑止力として働くのでは」という声も出た。

 集会の最後には「参政権つぶし、在日朝鮮人の国籍上の消滅、さらには在日外国人の分断をもくろむ国籍取得緩和法案に反対し『特別永住者の権利のための特別委委員会』の実現に力を尽くす」とうたった「6・2集会宣言」を採択した。

(2001.06.06 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ