民団新聞 MINDAN
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各地で「つくる会」の教科書批判

採択阻止へ全国がネットワーク



市民レベルでの連帯が
重要との認識で一致した
韓日マスコミ関係労組による
共同シンポ

■□
350カ所委で「草の根学習会」
6〜7月が正念場、各地で一斉に声を

 「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した中学歴史教科書を批判をする声が各地で高まっている。「つくる会」の教科書をテーマに全国の市民団体が開催してきた草の根シンポ・講演会は、今年に入って5月までに350カ所を超えたという。5月29日には「子どもに渡せますか・あぶない教科書」全国ネットワークを発足させた。

 全国ネットは「つくる会」教科書批判の声を全国的に広げていくための緩やかなネットワーク組織。事務局は自治労と日教組所属の組合員が多く参加している「フォーラム平和・人権・環境」と市民団体「子どもと教科書全国ネット21」が担っている。講演会や学習会などの要請があれば、講師を派遣するなど取り組みをサポートしていく。

 「フォーラム平和・人権・環境」に所属、「教科書問題を考える実行委員会」の代表を務める樋口浩さん(日教組中央執行副委員長)は「当事者としてはこんな教科書を使わせたくないが、採択は現場で決めること。採択するなとはいわないが、いかに事実をゆがめた教科書であるかの批判はとことんやる」と話している。

 一方、「子どもと教科書全国ネット21」では「つくる会」の歴史教科書を批判する世論喚起のためのパンフ『これがあぶない教科書だ!』(1部10円)を作り、すでに13万部を全国に配布した。同時に「憲法否定・国際孤立の道へ踏み込む教科書を子どもたちに渡してはならない」アピールへの賛同署名も急ピッチで進んでいるという。

 9日には関係18の団体と一緒に東京の日本教育会館一橋ホールで午後2時から大がかりな集会を予定している。タイトルは「子どもに渡しちゃだめ!こんなあぶない教科書」。専門家・識者のほかにも現役の中学生・高校生からの発言も募る方針だ。

 また、6月中旬には日本の大手全国紙に「つくる会」教科書の問題点を指摘する意見広告を掲載していく予定。費用550万円は全額カンパで集める。現在、1口1000円の賛同金を募っている。

 各地でどの教科書を選ぶのかを決めるのは「7月1日を前後した10日間がピーク」といわれている。これは各都道府県とも7月末日までには地域での採択結果を集約、文部科学省に報告しなければならないため。「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長は「『つくる会』の教科書を批判する世論はどんどん高まっている。それぞれの地域で採用させない動きをつくるのは可能だ。この2カ月間が日本の21世紀の進路を決める」と危機感を募らせている。

 今月から各地で教科書展示会が始まる。教科書問題を考える実行委員会の樋口さんは「どのような教科書を選ぶのか実際に手にとって確認してほしい。地域のみなさんが声を上げていく必要がある」と訴えている。

(2001.06.06 民団新聞)



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