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「韓日関係の原点直視を」

崔大使が教科書問題で会見



日本記者クラブで行われた
崔相龍大使の記者会見

■□
「日本側の誠意待つ」
文化交流、学びあうプロセス大切

 駐日韓国大使館の崔相龍大使は5月30日、東京・日比谷の日本記者クラブで歴史教科書問題などを中心に記者会見を行った。

 崔大使はまず1965年の韓日国交正常化当時、両国民の往来は、年間1万人だったが、現在その数字は1日のものになっていると前置きし、「98年の金大中大統領訪日以来築いた友好関係のおかげだ。そういう時代を生きている重い現実を受けとめなければならない。平均的日本人にとって、韓国はもはや遠い国ではない」と語った。

 しかし、歴史教科書問題で韓日関係が停滞し、両国指導者が悩んでいると指摘、4項目についての見解を述べた。


■歴史問題

 両国関係の原点は、98年の金大中大統領と小渕首相会談で合意した「21世紀パートナーシップ」宣言だ。これは、95年の村山談話の精神を具現化したもので、その柱は(1)過去の直視と未来志向(2)痛切な反省と心からのお詫び(3)若い世代の歴史認識の深化―だった。

 ところが、今回の「教科書問題」は、内容が宣言の精神に反する。日本政府の見解は「特定の教科書を支持しない」というものだが、教科書として適切だと判断したのは政府であり、その判断責任からは逃れられない。

 再修正は無理だと言うが、問題の教科書を読みもせずに、そういう発言は妥当だろうか。間違っていれば、修正は可能だ。日本政府は「真摯に受けとめ誠意をもって精査する」と言った。われわれはその発言を尊重し、今は待つのみだ。


■文化交流

 韓日は1400年の交流がある。韓国人が日本に来るたびに日本文化は飛躍した。しかし、1910年から45年までの植民地時代に韓国の文化は破壊された。

 今では韓国からの文化行事は230件、韓日合作行事が60件という大変な進歩を遂げた。韓日は同じ儒教文化圏の国で、互いに学び、学び合うプロセスが大事だ。


■経済問題

 韓日間ではいずれFTA(自由貿易協定)も可能だ。その前段階の環境づくりとして、人とモノの交流を拡大する。それには航空便がまだ足りない。制度の整備を拡充すべきだが、両国のリーダーの冷徹で賢明な判断が求められる。


■南北問題

 昨年の南北首脳会談の成功は、韓半島の冷戦終焉に道を開いた。冷戦そのものを大国の利害ではなく、自ら解決しようという宣言だった。

 北韓は自主性をよく言うが、根本はナショナリズム。韓国はそれを認めながら強制された分断を当事者で解決しようとしている。

 また、首脳会談は平和共存の制度化の始まりだった。米国のブッシュ政権の登場によって、北韓は変化を選択せざるを得ないが、米国の検証主義と包容政策は相互補完できる。日、米、韓の協力が必要だ。

(2001.06.06 民団新聞)



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