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波紋広がる杉並区教育委人事

「つくる会」教科書採用が狙い



杉並区教委区委員会に
大蔵氏の辞任を求める「親の会」

 区長の強権で教育委員としては適格性を欠く人物の任命を区議会に推薦するなど今後の教科書採択にあたって公平性を損なうと思われる行為が東京・杉並区で明らかとなり、区内の保護者でつくる「『つくる会』の歴史・公民教科書採択に反対する杉並・親の会」などが強い抗議の声を上げている。

 問題となったのは山田宏杉並区長が昨年11月、「教科書は教師が選ぶのがよい」と発言していた教育委員ら3人を更迭、後任に大蔵雄之助氏ら2人を指名したこと。残る一人はその教育観や選考過程の不透明性が区議会で問題となり、区側としても起用を見送らざるをえなかった。このため一人が欠員のままという異常事態が続いていた。

 大蔵氏はその後、三島由紀夫のクーデター未遂を讃える極右団体「三島研究会」の発起人であり、統一協会にも深く関わっていることが判明、区長の責任問題に発展した。

 大蔵氏は昨年6月にモンタナで行われた国際フオーラムでも「従軍慰安婦は売春婦だった」と明言したといわれる。また「つくる会」に賛意を示し『新しい歴史教科書』の必要性を述べたとされる。三島由紀夫割腹記念「憂国忌」には区内に在住する「つくる会」代表の西尾幹二氏を招いて教科書問題で講演会を行うなど、「つくる会」の宣伝に努めており、主体的に運動に関わってきたことで知られる。

 区議会で山田区長の任命責任を問い、大蔵氏の罷免を要求してきた結柴誠一議員(当時)は、「昨年11月の強引な教育委員人事は『つくる会』教科書を採択させるための人選であったと考えるほかない」と話している。

 「杉並・親の会」は6月区議会最終日の13日、教育現場への権力的介入に対する山田区長の責任を問い、杉並区教育委員会(丸田頼一教育委員長、與川幸男教育長)には大蔵氏の辞任を申し入れた。この後、区役所前で「つくる会」のつくった歴史・公民教科書の採択に反対する署名活動を展開した。署名数はこの日で5000人を突破した。今年は杉並区がソウル市束草区と友好都市の関係を結んで10周年。今後とも様々な祝賀集会イベントが予定されているものの「つくる会」の教科書が採択されれば束草区側の反発は避けられないとの声が強い。

(2001.06.20 民団新聞)



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