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民団・21世紀委が初フォーラム

同胞組織の将来像語る



8日に東京で開かれた
「未来フォーラム」

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東京で第1回「未来フォーラム」
「国籍」テーマに幅広い意見交換

 在日同胞21世紀委員会(金敬得代表)が主催する初めての「未来フォーラム」が8日、東京の科学技術館で開かれ、約200人の同胞らが参加した。「国籍取得法案」への対処が焦眉の課題となっている現状を受け、主テーマを「国籍の意味と同胞組織の将来像」に決め、基調講演と5部会からの発表の後、討論では帰化同胞も積極的に構成員に含めた民団組織のあり方と21世紀の同胞社会の展望に多くの意見が集中した。同委員会は来年の民団中央委員会に向け、中・長期的な政策提言を策定する。

 主催者を代表し、金代表は、「すでに在日5世も誕生し、同胞社会の変化に応じた組織づくりが求められている。各界各層の同胞の知恵を借りながら、同胞社会の今後のあり方を民団に提言し、実行に結びつけよう」と呼びかけた。

 続けて基調講演で金代表は、国籍に対する意識を「まずは国ありき」という1世中心の「独立建国型」、差別やマイナスの同胞像に反発する2世の「反差別型」、自己の便宜のために国籍を相対化する3世の「自己実現型」の3つに分け、これら同胞の意識変化を調和させながら同胞社会の発展に寄与することが重要と述べた。

 また、民団の参政権獲得運動によって、在韓外国人の選挙権が2002年から実現する成果を踏まえ、韓日両国の対立を止揚する在日同胞の立場から個人の尊厳と差別政策の是正を両国に求めていくべきだと強調した。

 帰化同胞24万余人に対しては、今後同胞社会に包み込むためにも「アイヌ民族保護法」のような民族性を尊重される法制化を日本政府に求める必要があると提起した。


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「IT活用したネットワークづくり大切」
各部会の中間報告で提言

 組織づくり部会(徐海錫部会長)、基盤づくり部会(李起昇部会長)、くらしづくり部会(李清一部会長)、人・文化づくり部会(李明部会長)、IT部会(玄光男部会長)の中間報告では、「民団への参加を求める帰化同胞を迎え入れるために、規約などの改正作業に着手すべきではないか」「支部会館を地域に開放し、文化センター的役割を担いながら自治体からの助成金を得よう」「在米、在中同胞をはじめとした海外コリアンネットワークの構築でビジネス展開を」「在日60万に向けた情報発信が民団の財産、その確立が急務」「本名宣言で在日の再確認を」などの提起がなされた。

 これに対して会場からは、「日本籍同胞の受け入れは、韓国籍に依拠し、社会運動を展開してきた民団のエネルギーを拡散しないか」「日本籍同胞が民団に参与しようという動きがあるのか」という指摘や「国籍緩和法案を民団主導でよりいいものに逆提案できないか」「まずは韓国籍同胞の民族主体性を確立する運動が先決」などの意見が出された。


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年内に関西でも第2回を開催へ

 各委員らは「参政権運動をつぶし、同胞数の減少を狙う国籍緩和法案を見過ごすわけにはいかない」「多様化する同胞社会を維持、発展させるためにも、韓半島にルーツを持つ日本籍同胞を積極的に受け入れるべきだ」「帰化を促進する法案に、参政権運動を主導してきた組織が便乗すべきでない」「民族主体性の契機は民族教育だが、従前の教育方法一辺倒ではなく、ITを駆使した多面的な方法と、その活用によるビジネス展開が急務」との答弁が続いた。

 21世紀委員会は昨年9月に発足した民団の専門委員会で、約50人で構成する。任期は2003年2月末。今回のフォーラムは1年余の協議内容を検証し、幅広い意見を収集するために開かれた。


(2001.09.12 民団新聞)



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