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援護法適用訴え続けた同胞戦傷元軍属

石成基さんが死去



 日本の戦後半世紀にわたって戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)の適用を訴え続けてきた在日同胞戦傷元軍属、石成基さん(79)=横浜市保土ヶ谷区=が思いかなわないまま8月30日、横浜市神奈川区の病院で死去した。心不全だった。

 石さんは1942年、韓国から軍属徴用により南洋のマーシャル群島に送られた。44年に陣地構築に従事していたウォッチエ島で艦載機の機銃掃射を受け負傷。右上腕15aを残して右腕を切断した。解放後、歴代内閣に援護法の適用を訴えてきたが、国籍・戸籍条項が壁となり、韓日両国政府の狭間で翻弄され続けた。63年には首相に直訴するため官邸に直接車を乗り付けたことも。

 94年に日本政府に提訴したが、間もなく脳血栓で倒れた。裁判に勝訴したい一念で病気と闘ってきたが、訴えは一審、控訴審、最高裁とも退けられた。

 昨年5月、与党3党が提出した「見舞金」が国会を通過、生活支援金を含めて400万円が支給されることになったが、「私たちはそれぽっちのものなのか」とつぶやいたという。石さんの負傷は第3項症にあたり、日本国籍であれば約1億円近い金額を受領していたはずだった。


(2001.09.12 民団新聞)



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