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韓国企業の対北投資事業が停滞

北側の訪問・滞在禁止などが原因



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活性化には制度整備急務

 【ソウル】98年3月の金大中政権発足後、韓国企業が推進してきた北韓への経済協力事業は、のきなみ停滞し、北韓への投資を計画中の企業は、昨年より減少するなど南北経済協力に対する企業の関心が低下している。

 全国経済人連合会が、韓国の売上高上位600社を対象に今月6日に実施した「南北経済協力と改善課題」に関する設問調査によると、単純交易、委託加工、投資協力など南北経済協力事業を推進中の企業は、返答企業(437社)の2・1%の9社にすぎない。

 南北経済協力をしていない企業のうち、経済協力計画中は51社(11・9%)で、昨年8月調査時の60社(13・4%)より減り、377社(88・1%)は北韓への投資を考えていない。その理由としては、業種の不適当が28・4%で最も多く、▽経済外的不確実性=24・7%▽構造調整など企業内部事情=17・8%▽事業環境未成熟=17・8%などの順であった。

 南北経済協力の活性化のためには、投資保証協定の締結など制度的装置とともに北韓の社会間接資本(SOC)がそれなりに整備されなければならない、と企業側では見ている。

 産業資源部が10日に国会の産業資源委員会に提出した「国内企業の対北事業推進現況」によると、金大中政権スタート以来、当局の承認を受けた10件の対北協力事業の中、まだ事業性の判断が困難な一部の事業を除いたほとんどすべての事業が、蹉跌を来している。

 白山実業とドゥレマウル営農組合は、北韓当局が98年秋に羅津・先鋒地域に対する訪問禁止措置を取ったために、投資さえできなかった。白山実業は北韓でキノコ類を栽培して国内に搬入あるいは第3国に輸出する計画だった。ドゥレマウル営農組合は羅津・先鋒地域で農産物を契約栽培する予定であった。

 また、味興食品は、水産物採取・加工事業のため北韓に船舶と漁具など6万4000ドル相当を現物で投資したが、北韓の訪問不許可により事業が中断されている。帆立貝を養殖する事業に1万3000ドルを投資したテヨン水産とLGも、北韓側が訪問を許可しないため、事業ができずにいる。

 金剛山ミネラルウォーター開発事業に552万7000ドルを投資した泰昌は、北韓側がトン当たりの価格を3・5ドルから100ドルに引き上げるよう要求しているため、事業継続が苦しくなった。

 この他に、北韓でテレビ広告と印刷物を制作する計画だったアザ・コミニュケーションは政府承認を受けた後、会社の事情を理由に事業に着手しなかった。

 大宇は、96年以来512万ドルを投資して南浦工業団地で縫製事業を行ってきたが、北韓が経営陣と技術陣の滞在を拒否したため、事業の中断を余儀なくされた。

 産資部は▽血栓症治療剤の事業に191万2000ドルを投資した緑十字▽食品種トウモロコシ開発に410万ドルを投資した国際トウモロコシ財団▽北韓不動産開発とコンサルティングに20万ドルを投資したコリア・ランドなどについては、事業の初期段階であるためまだ事業性を判断するのが難しいと明らかにした。

 韓国政府には、北韓進出企業に対する投資ガイドラインの提示や情報提供など適切な支援策を打ち出すとともに、南北双方が昨年末に合意した4つの南北経済協力合意書(二重課税防止協定、投資保証協定、紛争解決手続、清算決済手続)を早期に批准、発効させることが望まれている。


(2001.09.19 民団新聞)



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