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新たな民族金融機関の基盤を




 昨今の民族金融機関の相次ぐ破綻、特に昨年12月、これまで韓信協会員組合を牽引してきた関西興銀、東京商銀の破綻は、在日同胞社会に衝撃を与えるとともに未曾有の危機的な状況をもたらしました。民団など関係者は破綻地区での同胞企業が資金供給源を失い、連鎖倒産するのを憂慮して早期の銀行設立に向けて奔走してきました。そして、紆余曲折を経てようやく設立時の資本金確保および最高経営責任者(頭取)が確定する段階まできました。


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既存信組と共存共栄へ

 新銀行の役割が、破綻した信組の受け皿として、そして既存の信組の信用力補完を図り、共存共栄しうる民族金融機関であることは論を要しません。

 これまで、来年のペイオフ解禁を踏まえ、一刻も早く銀行を設立するために少人数による発起設立方式で推進し、銀行設立後に一人一株取得の大衆運動を展開して多くの同胞が参与する銀行を目指す予定でした。しかし、破綻組合の円滑な事業譲受にはより多くの資本金確保が早期の認可取得に役立つとも言われています。

 そこで、民団では、先の全国団長会議で、在日同胞社会が中小・零細企業が圧倒的多数を占める現況に鑑み、同胞社会の経済基盤を安定させる全同胞が参与する強固な銀行を目指して早期の増資への対処を確認しています。

 これは、既存の信組が地域再編などペイオフ解禁に向けて様々な努力を行っていますが、より安定した金融機関としての地位を確保するうえで後ろ盾としての新銀行が不可欠であるからです。幸いにも新銀行は経営理念で中小企業および個人顧客取引などのリテール分野に特色を持つ銀行として更なる地域貢献を果たすとともに健全経営を続ける韓信協会員組合の後ろ盾になることを明確に謳っています。


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民族金融機関は不可欠

 これまで民族金融機関は、苦境にあった同胞の経済活動を立ち上げ、生活の安定をもたらすべく設立されました。そして、在日事業者への資金供給源としての役割を充分に果たし、同胞零細企業を支えてきたのも事実です。だからこそ、今では業界を代表する焼肉店や遊技店が数多く存在します。従って、在日同胞社会にとって銀行であれ信用組合であれ民族金融機関は必要不可欠であります。

 しかし、相次ぐ破綻や不祥事によって民族金融機関そのものがかつての信頼を失いつつあるのも事実です。ですが、破綻という要因とは言え、この時期を逃すと二度と在日同胞の銀行はできないと言われる好機でもあります。新銀行と健全な信組を地域密着型の金融機関として存続させる上で、新銀行設立は重要と考えます。

 40数年前に、あの逆境の中で日本各地に信組を設立した先輩たちの努力に習い、私たちも今、新たに民族金融機関の強固な基盤を作り上げましょう。

(2001.10.17 民団新聞)



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