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民団系同胞の北韓訪問実現の課題

許孟道民団東京地方本部団長



許孟道委員

離散家族再会への道開け

 祖国の平和的、民主的統一は全民族の悲願であります。またこの時代を生きる私たちの課業でもあります。祖国統一を達成するためには、まず民族的な和合と大同団結を成し遂げねばならないことは当然の過程であると言えます。そのような意味から、昨年実現した金大中大統領の平壌訪問と南北首脳会談及び南北共同宣言は歴史的な事件でありましたし、在日同胞社会は双手を挙げてこれを歓迎しました。

 また、その後の一連の南北会談は私たちに民族和合と南北統一という言葉を虚像ではなく実像として受け止めさせ、希望と期待を膨らませました。しかし、そのような過程で歓迎する事項も多くありましたが、私たちを失望させた事件もあったことを指摘しようと思います。

 南北長官級会談の合意を元に昨年9月から実施された総連中央の主導する故郷訪問団はすでに5次に亘って400名余りの総連同胞が故郷である韓国を訪問しました。

 民団はすでに1975年から総連系同胞の母国訪問団事業を実施しており、多くの総連系同胞が母国大韓民国を訪問できるよう諸般の機会を作り便宜を提供してきました。

 このような私たちの母訪団事業の推進経緯から見ると、今般の総連中央の自主的な故郷訪問団に反対する理由はありません。しかしこの事業の推進過程から起きた非論理的な側面に対して、私たちは問題点を指摘せざるを得ず、いかに良い趣旨の事業といえども論理性が欠けては却って多くの問題を引き起こすという点を指摘したいと思います。

 問題の焦点は、いわゆる離散家族再会のための人道主義的な観点から総連系同胞の訪韓団を認定するという点です。

 民団がすでに1975年から4半世紀にわたり、まさに人道主義的な観点から総連系同胞の母国訪問団事業を実施しており、参加者に対しては国籍や職業、その他いかなる条件も問わず、訪韓時には自由な行動を保障し帰日後も個人のプライバシーに干渉しませんでした。また、連絡の途絶えた縁故者を捜してあげ、資金不足の人には旅費の貸与まで行いながら母国訪問を支援してきたのです。これ以上の人道主義がどこにあるでしょうか。

 総連系同胞には過去4半世紀に亘っておおよそ100回以上の故郷訪問の機会がありましたし、彼らは厳密な意味から離散家族とはみなすことはできません。

 いかなる時でも本国の家族を訪問することができ、居所がわからないときには捜してあげることまでしてきたにも拘わらず、家族が会う機会を拒否してきたのです。

 そのような同胞に総連中央が事業主体となって行動半径の制限を受け、短期間の訪韓でしか離散家族と会うことができず、人道主義的な措置だとの理論は、完全な矛盾以外のなにものでもありません。

 事実上、人道的な措置を受けねばならない人たちは北送同胞の縁故者たちであり、民団系の在日韓国人であります。歴史的な詐欺事件に巻き込まれ北送された同胞の残留家族は、今も家族再会は放置したまま北送家族を人質にした脅迫に苦しめられています。また、多くの総連系同胞が民団に進んで参加していますが、やはりこの人たちにも北韓訪問の自由は保障されておらず、家族再会の機会はありません。

 北韓出身の民団団員にはなおさら訪北の機会はなく、北韓にいる残留家族と再会する機会は皆無であります。この人たちこそ真の意味で離散家族であり、南北当局者の間で解決をしてこそ家族再会の機会を得られるのです。彼らこそ人道主義の配慮受けるべき張本人なのです。

 私は以上の指摘をもとに、南北当局の保障のもと民団中央の主催による民団系同胞の訪北団の組織を提議します。いかようにも自由往来が可能な総連系同胞の韓国訪問を新たに人道主義的な離散家族再会などと表現せず、個人としては不可能な民団系同胞の北韓訪問を政府次元で保障し、これを早急に実現させるよう要望するものです。

 これこそ人道主義的な措置であり、南北和解と民族和合の最たるものであります。このことは中央本部が再三政府に要請してきましたし、昨年10月の金大中大統領が訪日された時の大統領の約束事項でもあります。また、いわゆる相互主義の原則からもこれは必ずや実現されねばなりません。

 在日同胞社会の民族和合が徐々に進展している今日の情勢を心からお慶び申し上げ、祖国の分断によって半世紀の間にわたって離散家族として呻吟している北韓出身の民団系同胞と北送家族の残留同胞らの苦痛を一日も早く癒すため、以上の通り建議するものです。

(2001.10.17 民団新聞)離散家族再会への道開け



 祖国の平和的、民主的統一は全民族の悲願であります。またこの時代を生きる私たちの課業でもあります。祖国統一を達成するためには、まず民族的な和合と大同団結を成し遂げねばならないことは当然の過程であると言えます。そのような意味から、昨年実現した金大中大統領の平壌訪問と南北首脳会談及び南北共同宣言は歴史的な事件でありましたし、在日同胞社会は双手を挙げてこれを歓迎しました。

 また、その後の一連の南北会談は私たちに民族和合と南北統一という言葉を虚像ではなく実像として受け止めさせ、希望と期待を膨らませました。しかし、そのような過程で歓迎する事項も多くありましたが、私たちを失望させた事件もあったことを指摘しようと思います。

 南北長官級会談の合意を元に昨年9月から実施された総連中央の主導する故郷訪問団はすでに5次に亘って400名余りの総連同胞が故郷である韓国を訪問しました。

 民団はすでに1975年から総連系同胞の母国訪問団事業を実施しており、多くの総連系同胞が母国大韓民国を訪問できるよう諸般の機会を作り便宜を提供してきました。

 このような私たちの母訪団事業の推進経緯から見ると、今般の総連中央の自主的な故郷訪問団に反対する理由はありません。しかしこの事業の推進過程から起きた非論理的な側面に対して、私たちは問題点を指摘せざるを得ず、いかに良い趣旨の事業といえども論理性が欠けては却って多くの問題を引き起こすという点を指摘したいと思います。

 問題の焦点は、いわゆる離散家族再会のための人道主義的な観点から総連系同胞の訪韓団を認定するという点です。

 民団がすでに1975年から4半世紀にわたり、まさに人道主義的な観点から総連系同胞の母国訪問団事業を実施しており、参加者に対しては国籍や職業、その他いかなる条件も問わず、訪韓時には自由な行動を保障し帰日後も個人のプライバシーに干渉しませんでした。また、連絡の途絶えた縁故者を捜してあげ、資金不足の人には旅費の貸与まで行いながら母国訪問を支援してきたのです。これ以上の人道主義がどこにあるでしょうか。

 総連系同胞には過去4半世紀に亘っておおよそ100回以上の故郷訪問の機会がありましたし、彼らは厳密な意味から離散家族とはみなすことはできません。

 いかなる時でも本国の家族を訪問することができ、居所がわからないときには捜してあげることまでしてきたにも拘わらず、家族が会う機会を拒否してきたのです。

 そのような同胞に総連中央が事業主体となって行動半径の制限を受け、短期間の訪韓でしか離散家族と会うことができず、人道主義的な措置だとの理論は、完全な矛盾以外のなにものでもありません。

 事実上、人道的な措置を受けねばならない人たちは北送同胞の縁故者たちであり、民団系の在日韓国人であります。歴史的な詐欺事件に巻き込まれ北送された同胞の残留家族は、今も家族再会は放置したまま北送家族を人質にした脅迫に苦しめられています。また、多くの総連系同胞が民団に進んで参加していますが、やはりこの人たちにも北韓訪問の自由は保障されておらず、家族再会の機会はありません。

 北韓出身の民団団員にはなおさら訪北の機会はなく、北韓にいる残留家族と再会する機会は皆無であります。この人たちこそ真の意味で離散家族であり、南北当局者の間で解決をしてこそ家族再会の機会を得られるのです。彼らこそ人道主義の配慮受けるべき張本人なのです。

 私は以上の指摘をもとに、南北当局の保障のもと民団中央の主催による民団系同胞の訪北団の組織を提議します。いかようにも自由往来が可能な総連系同胞の韓国訪問を新たに人道主義的な離散家族再会などと表現せず、個人としては不可能な民団系同胞の北韓訪問を政府次元で保障し、これを早急に実現させるよう要望するものです。

 これこそ人道主義的な措置であり、南北和解と民族和合の最たるものであります。このことは中央本部が再三政府に要請してきましたし、昨年10月の金大中大統領が訪日された時の大統領の約束事項でもあります。また、いわゆる相互主義の原則からもこれは必ずや実現されねばなりません。

 在日同胞社会の民族和合が徐々に進展している今日の情勢を心からお慶び申し上げ、祖国の分断によって半世紀の間にわたって離散家族として呻吟している北韓出身の民団系同胞と北送家族の残留同胞らの苦痛を一日も早く癒すため、以上の通り建議するものです。

(2001.10.17 民団新聞)



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