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悲しみを知る人々こそ
中途半端な平和運動ではこの状況に、立ち向かえない。「まずはお隣の朝鮮半島の平和のために在日コリアンが、南北の壁を乗り越える勇気を持たなきゃだめ。よろしく」
沖縄のミュージシャン、喜納昌吉さんはこう叫び、アリランを歌った。
同時多発テロに対する米英の軍事攻撃が始まった直後の今月8日、東京で開かれた緊急ライブでのことだ。
ウリパラムのリーダー、兪暁久さんが、「戦争が当たり前というこの状況に対してストップの声を上げたかった」と訴え、人材育成コンサルタントの辛淑玉さんは、「犯罪者は法廷で裁かれるべきで、日本の取る道は憲法9条をゼッケンとして胸にかかげ、世界の中に進んで行くことです」と強調した。
そして、川崎教会の元牧師で在日1世の李仁夏さんは、「時間をかけてテロの過ちをあぶり出すべきだった。報復は次のテロを生む。テロをなくすには、貧しい人々と分かち合う文明をつくることだ」と語った。
「21世紀は平和の世紀に」。希望に満ちた今世紀の幕開けが、ニューヨークの世界貿易センタービルが崩壊した瞬間、深い悲しみに変わった。
「米国の同盟国」である以上、テロの危険性が及ぶ可能性は日本も例外ではない。でも、非情なテロ行為をどう理解し、また米英の軍事攻撃で、地雷撤去のNGOや市民が命を落とし、難民があふれる現実に、日本はどう向き合えばいいのか。
日本の足もとが揺らいでいる今、強く感じるのは基地を抱える沖縄や在日コリアンのパワーだ。
「悲しみを乗り越えて」。罪なき人々を巻き込む戦争に反対していきたい。
(2001.10.24 民団新聞)
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