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地方選挙権法案・早期の審議再開を




 政治不信が言われて久しいものです。永住外国人の地方選挙権付与法案においても例外ではありません。2年前の今頃、与党3党は政権合意書で法案を『成立させる』ことを明記しました。しかし公党間のこの約束は守られず今日に至っています。

 逆に、前回の国会で採決段階に至るや、反対派はあの手この手を使っての阻止策動に終始し、私たち永住外国人の長年の期待を踏みにじりました。


◆約1500自治体が賛同

 今国会の会期も余すところ1カ月。テロ対策などの世界情勢への対応と、国内の景気・雇用への対策などの優先課題のため国会は追われています。

 だからといって、永住外国人の地方選挙権法案について審議に入ろうとしないのは、遺憾としか言いようがありません。私たちはこれまでの国会審議の成果をふまえ、速やかに審議を再開し、この法案を成立させる方向で採決するよう強く求めます。

 私たちの立法化要求に賛同する地方自治体の意見書採択は、現在1494議会に達しています。1000を超えるこの数は、戦後の議会決議数からいっても稀有の多さです。

 私たち同胞の大多数が居住する都市部ではすでに531の市が意見書を採択しており、その比率は76・8%に至っております。直近の「朝日新聞」の世論調査でも64%が付与に賛同しています。これらの明白な数字が国会で正当に評価され、充分に反映されないなら、国会が民主主義のルールに従って機能していないと疑わざるを得ません。


◆永住外国人の住民権を認めよ

 これ以上、国会は在日外国人の人権をなおざりにしてはなりません。反対派は、永住外国人の地方自治体選挙権問題を「人権」問題として捉えようとしません。彼らには外国人住民の「人権」を考える意識が欠落しており、判断基準は「日本人かどうか」、それだけのようです。「国際化」という思考回路が抜け落ちていて、日本国籍者以外の者を頑なに認めようとしません。

 私たちが要求している地方参政権を、投票権だけに限定してはいけません。「20歳以上で、地方自治体選挙権を有する者」がいわゆる制度的に認められた「住民」規定なのです。

 したがって、私たちが『正当な住民』となるためには、地方自治体選挙権が必要なのです。自治体への直接請求権、人権擁護委員や民生委員の資格など、地方選挙権を有しないと、「まともな住民」としての権利が生じないのです。だから、私たちの運動は別の言葉で言えば、「住民権」運動なのです。

 各政党は、「ほしければ帰化しろ」式の旧態依然たる国籍強要による解決ではなく、日本のこれから取るべき道として、せめて永住資格を有する外国人には、「住民権」としての地方参政権を付与すべきなのです。国会が国際化への決意を示す時です。

(2001.11.14 民団新聞)



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