民団新聞 MINDAN
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等身大の「在日」像・日本の若者に

KMJが教育用ビデオ企画



1世の歴史を描いた
「ハルモニたちは踊る」から

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シリーズ「在日外国人問題の原点を考える」
3部作1世の歴史から3世の思いまで12月中旬完成へ


■行政側と制作委構成

 在日同胞問題をテーマとした日本の青少年向け啓発ビデオの制作が、東京の桜映画社(東京都渋谷区)で進んでいる。この作品は「歴史編」「現状編」「展望編」からなる3部作で、12月中旬の完成を目指す。企画した社団法人大阪国際理解教育研究センター(略称KMJ、鄭早苗理事長)では、全国の学校、教育機関などを対象に来年初頭から本格的に普及を図っていきたい考えだ。

 KMJでは「在日の今の現状を正しく伝える」ことを意図して企画したと話す。啓発映画としては「サラムという名の隣人」以来10年ぶり。

 第1部は「ハルモニたちは踊る−在日コリアン1世が歩んだ道」、第2部が「オモニの想い−在日コリアンの戦後、そして今」、第3部は「出会い−在日コリアン3世と日本の若者たち」。全体のタイトルは「シリーズ在日外国人の問題の原点を考える」としている。KMJの呼びかけのもと行政からの関係者も加えて99年10月に制作委員会が発足、記録映画で定評のある桜映画社に委託した。

 このうち、一足先に完成した「ハルモニたちは踊る」は7月30日、財団法人日本視聴覚教育協会主催の優秀映像教材選奨で今年度の社会教育部門「優秀賞」に選ばれている。

 同作品は大阪府八尾市にある街かどデイハウス「八尾サンボラム」(徐玉子代表)が舞台。解放前後の激動の時代をたくましく生き抜き、今はいきいきと老後を過ごしているハルモニが波乱に満ちた半生を語る。作品の随所に挿入されている実写フィルムの一部は大阪在住の在日同胞、辛基秀氏が提供したもの。

 「オモニの想い」は、国籍や民族的ルーツが違おうとも「努力すれば夢がかなう社会であってほしい」という2世の親の切なる願いがこめられている。外国人登録制度や根強く残る就職差別の壁を描く。

 このなかで東京の司法書士、鄭英模さんは40社に願書を提出、39社から門前払いを受けたと自らの実体験を告白している。結局、「実力で生きていくしかない」と独学で司法書士資格を取得、41歳で独立した。

 最後の「出会い」は、日本社会でひたむきに生きようとする3、4世世代の「在日」と日本人の若者との心の交流を描く。「在日」の訴えに耳を傾け、違いを認めあいながら友情を深めていく姿に多文化共生社会時代の到来を展望している。


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「怒りと驚きを映像化」
原村監督

 制作にあたって脚本・演出を担当した桜映画社の原村政樹監督(44)は「私自身にとって知らないことばかりの連続だった。この生身で感じた怒り、驚きをそのまま映像にぶつけた」と話している。作品は授業で教材として使われることを考慮して各編とも30分余りに押さえている。

 連絡先は桜映画社が電話03(3478)6110、同じくKMJは06(6882)6688。販売取り扱いはKMJ。3本1セットで10万円(ライブラリー価格)の予定。

(2001.11.14 民団新聞)



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