民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
ますます高まる韓国食文化への関心

韓国風メニューも相次ぎ登場



百貨店でも人気の高まるキムチ

 最近の日本社会は韓国グルメブームである。キムチや焼き肉にとどまらず、石焼きピビンバやチヂミ(韓国風お好み焼き)、冷麺など韓国料理に対する関心は高まるばかりで、韓国風メニューが相次ぎ登場している。キムジャン(キムチ漬け)の季節を迎えた今、韓国料理ブームの火付け役ともいえるキムチを中心に韓国グルメ商品などを紹介しよう。


◆発酵キムチ生産急増本来の効能認識される

 最近の百貨店やスーパーの漬け物売り場にはさまざまなキムチが並べられており、消費者の好みが多様化していることをうかがわせる。

 日本で生産されるキムチは、浅漬けと呼ばれるいわゆる和風キムチと発酵キムチの2つに大別される。社団法人食品需給研究センターの統計によると、この10年間のキムチ生産量は、浅漬けキムチが91年の32万6千dから2000年には22万4千dに減少した。これに対し発酵キムチは8万5千dから32万dへと急増した。韓国からの輸入キムチ量も、91年の4千dから2000年には2万2千dまで拡大した。

 キムチ本来の効能である発酵作用が健康や美容に良いことが認識された証といえよう。  ここ数年間の爆発的なキムチブームは、「なんでもキムチにすれば売れる」という発想を生み、ピザやハンバーグから菓子類にいたるまでさまざまな商品を登場させている。いまやキムチはたんなる商品にとどまらず食材として活用され、需要は今後さらに拡大しそうだ。

 また、韓国料理のメニューも広がりを見せている。石焼きピビンバは広範な支持を得てヒットしており、これに便乗した石焼き料理の店も増加中である。サムゲタンや各種チゲ(韓国風鍋)などに対する人気も上昇中だ。

 在日韓国人がけん引役となった焼き肉ブームは狂牛病騒動の影響で一時的に影を潜めているものの、来年にサッカーワールドカップ(W杯)韓日共同開催を控えているだけに韓国グルメに対する関心はまだまだ広がるものと見られる。


■□■□■□
キムチが火つけ役に便利なミニキムチ博物館

●妻家房本店

 キムチについて知りたい人は、東京・四谷にある妻家房本店のミニキムチ博物館が便利である。

 大勢でキムチを漬ける昔ながらのキムジャンの風景を再現した模型をはじめ、キムチ用各種かめなど100点を展示しているほか、キムチの歴史や種類、効能、パワーの秘密などを知ることができる。キムチは地方や家によって作り方や味がさまざまで、主原料による分類だけでも200種類近くに達するという。たとえば、白菜のペチュキムチ、キュウリのオイキムチ、大根のカクテギ、水キムチ、ニラキムチ、ネギキムチ等々。

 ミニキムチ博物館は妻家房本店1階(電話03-3354-0100)、地下鉄丸の内線「四谷3丁目」駅前。


■□■□■□
本場もの全国に宅配

 永盛ジャパン(03-3509-6030)は韓国から直輸入のキムチを宅配便で全国に発送している。

 最も人気のある白菜キムチ(写真)は1缶(7・5`入り)5250円と、発送料、消費税込みの価格はかなりお徳用。大根を素材にしたチョンガクキムチは1缶(7・5`入り)6300円、ニラキムチと干し大根キムチは各1缶(6`入り)6000円となっている。

 また、高麗人参やナツメなどをひな鶏の肉の中に詰めた丸1羽のサムゲタンは1ケース(12パック入り)8400円、冷麺・スープセット(30食)が4800円となっている。

 12月末までキャンペーンを実施中で、1等賞品はキムチ冷蔵庫(サムスン製)。


■□■□■□
多様な食品を卸値で

 手作りのおふくろの味のキムチ専門店として知られる七日場(チリルジャン、03-5951-2116)ではさまざまなキムチメニューを開発し、いまでは50種類を超す。V  材料はいずれも韓国産を使用しており、本場韓国キムチのバラエティーに富んだ味を楽しむことができる。

 例えば、白菜や大根、キュウリ、ゴマの葉といった野菜をはじめ、イカやタコといった海産物などさまざな材料のキムチが店頭に並んでいる。

 また、高麗人参や生姜茶の健康食品、冷麺、焼きのり、キムチの素などあらゆる韓国食品を取り扱っており、卸値段で全国宅配サービスを行っている。


ミニキムチ博物館に展示された各種カメ

■□■□■□
バイオ技術応用する

 「キムチのほし山」(京都市右京区・李連順社長、075-872-2129)はこのほど、肝臓薬などにも使われ、免疫力向上などの働きがあるアミノ酸の一種・グルタチオンを、バイオ技術の応用で強化したキムチの開発に成功、今月から発売を始めた。

 高バイオ技術研究所(京都市左京区・高博社長)が、ほし山製のキムチから分離した酵母「サッカロミセス・シェルビッシュSC―905菌」を増殖するため、キムチの成分に似た特殊培地で培養後、再びキムチに添加することによってグルタチオンを多量に含むキムチ商品にした。

 この「ハイグルタチオンキムチ」は100cの量で玉ネギ10個分、アスパラガス75本分、レバー150cに相当するグルタチオンを含有している。価格は通常のキムチと同等の100c当たり150円。年間80dの販売を見込んでいる。

 同ほし山の「耕部長は、酵母菌の応用例として「キムチ以外に味噌漬けや鍋物、スープなどにも添加できる」と話しており、キムチの健康食品として広めたいとしている。


姜恩順氏

■□■□■□
こげ付きなしでジューシーに
ダクト不要の無煙ロースター

 シュウ・トレーディング(03-3281-5806)が販売している、ダクトのいらない無煙ロースターが人気を呼んでいる。

 このロースターは、肉を焼く網の部分をパイプ式にしたのが特徴。パイプの中を90度の湯を循環させることにより、肉やタレのこげ付きがなく煙がほとんど出ない。肉のみならず野菜や魚介類もジューシーにおいしく焼くことができる。

 ダクトが必要ないのでかなりの設備費を節約できるだけでなく、パイプ状の網も水洗いだけで簡単にすませることができる。

 焼き肉店はもちろん、ホテルから焼鳥屋まで需要が広がっている。


■□■□■□
インスタント「ビビンパプ」
三輝が韓国で開発

 三輝(電話044-355-2123)は女性に人気の高い「ビビンパプ」をインスタント商品として新発売した。

 材料はすべて韓国産。


■□■□■□
オモニの心≠ナ接する
キムチどの食材にも合う万能調味料

キムチ作り40余年の姜恩順さんに聞く

 キムチ作りに取り組んで40年余り。在日韓国人2世の姜恩順さん(第一物産社長)の韓国食文化を継承させたいという思い入れは人一倍強い。その思いについて聞いた。

 ――日本での韓国料理ブームについて。

 最近は、それまでの焼き肉とキムチだけにとどまらず、ピビンバやチゲなどの韓国食が非常に健康に良いことが認識され、種類がバラエティーに富むようになったのは喜ばしい。

 ――キムチに対する認識も変わったのでは。

 浅漬けキムチではなく発酵キムチが健康に良いと、特に若い女性たちから支持を得るようになった意義は大きい。

 ――おいしいキムチづくりのコツは。

 キムチは発酵食品。生き物を扱うのと同じように、オモニの心でもって接するのが大切。おいしいキムチは、白菜など新鮮な食材、塩辛といった薬念(ヤンニョン)をそろえるほか、コンブやかつお節などのだしをとるのがコツでしょう。

 ――最近は食材としてのキムチの利用が増えているが。

 ピザやスパゲッティ、ハンバーグなどキムチは万能調味料といえるほど、どの食材にも合う。家庭でも、キムチの熟成が進み酸っぱくなれば、チャーハンやチヂミ(韓国風お好み焼き)、チゲなどに入れて食べると違った味が楽しめる。

 ――韓国食文化の継承にこだわりを持っているようだが。

 韓国食は医食同源に通じる健康食で、キムチはその代表。日本にとどまらず世界の人々の健康食として普及させたい。

(2001.11.14 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ