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元気な韓国映画の魅力を語る

柳吉村・韓国映画振興委員長



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発展途上の韓国映画若手監督の活躍が要に
固定観念にとらわれない意外性

 韓国映画がかつてない勢いで日本に上陸している。「シュリのヒットは、韓国と日本の映画界の交流が盛んになる助けになった」と語るのは、韓国映画、韓国映画産業の振興のために韓国文化観光部の傘下機関として設立された、韓国映画振興委員会の柳吉村委員長。先月末、第14回東京国際映画祭の協賛企画「コリアン・シネマ・ウィーク」の上映に合わせて来日した柳氏に、韓国映画界の状況や今後の展望などを聞いた。


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◆現在、韓国と日本の映画交流が盛んだが、今後も発展させていくために必要なことは。

 交流しようという強い意志を持つことが何よりも重要。それに尽きると思っている。ほかの問題はその意志さえあれば解決されていくだろう。


◆若手監督にかける期待は。

 韓国国内では、若手監督が支持を受けている。国内でロードショーされる映画の90%以上が若手監督で占められており、期待は非常に高い。


◆日本でも韓国映画の技術やストーリー性など、高い評価を得ているが。

 今、韓国映画界は世代交代が完全に終了した状態と言える。質的にも内容的にも高いものになっている。それは監督だけではなく制作者、投資する側、配給会社も若くなっており、30代が非常に重要な役割を占めているからだ。若さとは、自由で想像力も豊かであり、固定観念にとらわれない意外性のある作品を生み出せるところが受け入れられていると考える。

 そしてもう一つは、競争力の問題だ。30代で監督をやりたいという人材が年間3000人もいる。競争が激しいので、一つの作品でも失敗したら自分の映画人生は終わりだという覚悟で臨んでいる人が多いので、質的向上に大きく役立っている。


◆今、日本で韓国映画に対する注目が高まっているが。

 今、韓国映画界は頂点にあるわけではない。国際的にもまだブームをわき起こしていない。むしろ発展途上だと言えるだろう。少し気を抜けばすぐ落ちていく。今が極めて重要な時期で、ある意味で緊張している状態だと言える。


◆一時のブームで終わってしまうのではないかという危惧について。

 そういう危険は間違いなくあるので、政府も韓国映画推進委員会もどうやって防ぐかということについて論議を積み重ねる必要がある。


◆日本で韓国映画を発展、継続させていくために韓国映画推進委員会ではどのような働きかけをしていくのか。

 広報とマーケットと質の向上だが、韓国映画推進委員会はどれも主体ではない。これらをいかに支援していくかが重要になると考えている。


◆今後のアジア映画の展望については。

 常に指導していることは、ヨーロッパやアメリカは映画の先進国で、資本やマーケティングも発達している。その半面、韓国や日本、中国はまだそういう状態に達していない。3カ国には閉鎖的な部分があり、今後の課題は3つの国が1つになっていって、協力関係を強化していく必要がある。

 その日がきたら、映画大国として浮上する可能性を秘めている。映画交流のみならず、文化交流でもアジアの3国は歴史もあり、3つの国が1つになれたら世界的にも誇れる存在になれると思う。

(2001.11.14 民団新聞)



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