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引く手あまた国際理解教育

「三年峠」で児童の関心



ペンイに目を輝かせる児童
(川崎市立小田小で)

 【神奈川】川崎市内の公立小学校などで国際理解教育の授業を行う川崎市教育委員会の「民族文化講師ふれあい事業」が好評を博している。この事業は市教委の主導で5年前から続いているが、学校からの依頼の約3分の2が川崎市ふれあい館の韓国文化講座に集中している。2学期は国語の授業で韓国の民話「三年峠」を学ぶためか特に多忙を極めるという。


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川崎市民族文化講師ふれあい事業
依頼校の3/2が韓国文化要請

 川崎市ふれあい館の学校訪問は神奈川県内全域を対象に7,8年前から続いている。ただし、市教委が「民族文化講師ふれあい事業」として予算化したいまは、川崎市内の依頼校を回るだけで手いっぱい。訪問先はほとんどが小学校だ。この2学期、小学校では3年生が国語の時間に韓国の民話「三年峠」を学ぶ。児童の韓国への関心の高まりを受けて、学校側が市教委に依頼するという例が多い。

 ふれあい館では出し物としてマダン劇「三年峠」と、子どもたち自ら民族楽器やチョゴリに触れ、韓国の遊びを実体験するワークショップ形式の2つを用意している。チームは4人、ないしは6人で構成。メンバーはその都度、ふれあい館職員の朴栄子さんが同館を運営する社会福祉法人青丘社の周辺に集う同胞ボランティアに声をかけて編成している。11月29日は市教委からの要請を受け4人で市立小田小学校(平沢公子校長、500人)を訪問した。

 体育館で自己紹介の後、各自が手分けしてチャンゴ演奏、民俗ノリ、韓国語学習、チョゴリの試着などの各コーナーを担当した。このときばかりは教室で引きこもりがちがちな生徒までが夢中になり、担当教師をびっくりさせていた。

 最後に全体会を締めくくるにあたって朴栄子さんは子どもたちに「違いを大切に」と呼びかけている。この日は同小では在日同胞子弟の在籍が確認されていたためか、朴さんの話にはふだんよりも熱が入っていた。この体験学習をただの文化交流や文化理解だけにとどまらせず、誰もが「共に生きる」国際理解教育の一環にしたいからだ。

 朴さんは「はじめは隅のほうでひっそりしていた在日の子が、私たちとの出会いを通して自らの出自を明らかにしてくれることもあった。すぐ近くにいる違う文化を持つ人と一緒に生きていくことが大事なのだと子どもたちに伝えていきたい」と話している。

(2001.12.05 民団新聞)



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