民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
韓国語授業支援へ同胞教師ら教科書℃詩



試作本をたたき台に
検討を加えるメンバー

■□
2年がかり「学習のめやす(案)」も
大阪府教委が高い関心

 【大阪】西日本地区の在日同胞高校教員と日本人の大学教員がプロジェクトチームを組み、これから韓国語を学ぼうとする高等学校の生徒のための教材を試作した。同教材は現場での長年にわたる授業実践の経験を生かしており、高校生の目線で編集されているなど類書にない特色を持っている。高校生向け韓国語テキストづくりは珍しい試みだけに、大阪府教委でも正式な完成の行方を注目している。

 このほど完成した試作本は『高校生の韓国朝鮮語1』と題した入門編。高等学校韓国朝鮮語教育ネットワークの西日本ブロック「学習のめやす」研究チームが2年がかりで編集したもの。

 高校の授業における韓国語教育は第2外国語として全国的な広がりを見せつつあるが、位置づけとしては「その他の外国語」であり、基盤は確固としたものではない。学習指導要領上も特に明示されたものはなく、1年間にどこまでどう教えるのかといったことは現場教員の悩みの種だった。 西日本ブロックでは99年8月のネット発足を前後してまず「学習のめやす(案)」作成に取り組み、それに基づいて今回の教材を試作した。担当したのは兵庫県立湊川高校教員の方政雄さんら5人の同胞教員たちに九州産業大学の専任講師、長谷川由紀子さんを加えた6人。長谷川さんは大学の教員として言語学の立場から監修にあたった。

 まず、前段として韓国語の成り立ちや特徴についての解説。本文は「文字と発音」「会話」「語彙リスト」からなる。

 基本例文はシンプルで覚えやすいものばかり。現役の高校生が生活の現場で実際に使っている単語や言い回しを使って親しみやすくしてある。執筆者の一人でもある方教諭も「男子2人、女子2人が会話していく形式。日本の高校生も在日の高校生も本国の高校生も登場するようにした」という。文法は重視しながらも極力表に出ないようにしてある。

 内容、レベルをどこに置くのかは、やはり現場での経験が決め手になったようだ。同じ執筆者の一人、任喜久子さん(大阪府立阪南高校教諭)は「レベルの差はあるが、ここまでは最低限(韓国語で)言えるようにしようというものを決めた。さらに意欲的な生徒のためには応用編も入れた」と話している。

 来年の新年度から希望校に試用してもらいながらさらに改良を加え、03年度からの正式使用を目指している。大阪府教育委員会教務課では「高校で韓国語を教えている経験を生かした丁寧な作りに感心した。きちんとした発音の指導と、練習問題もふんだんに盛り込まれているのもいい」と注目している。

 日本文部科学省によれば、第2外国語として韓国語の授業を取り入れている高校は現在、全国の公立、私立合わせて130校余り。来年からは大学入試センター試験に韓国語が正式に導入されることから今後、さらに増えると見込まれている。

(2001.12.19 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ