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在外被爆者「人道的援護」実現を

議員懇・厚労省に具体化要請



「検討会」での結論受け

 在外被爆者に援護法適用を実現させる議員懇談会(金子哲夫事務局長、社会民主党衆院議員)は12月12日、衆議院議員会館に厚生労働省の担当者を呼び、具体的な援護施策を提示するよう求めた。これに対して、健康局総務課の青柳親房総務課長は「実現可能なものから1つずつ積み上げていく」と答えるにとどまり、具体的な中身については明らかにしなかった。

 この問題については坂口力・厚生労働相が「在外被爆者も高齢化しており早急に一つの方向性を出したい」と8月から「検討会」を主宰するなど解決に意欲を示していた。10日にまとまった「検討会」の結論は両論併記になったものの、「人道上の見地からはその現在の居住地によって援護の程度に差が出るのは不合理」という認識では一致していた。

 しかし、厚生労働省では渡航費を国が負担しての渡日治療と基金の設置を柱に検討してるといわれ、健康管理手当(月額3万4000円)の支給など日本在住の被爆者と同等の処遇を求める在外被爆者の要求とはかけ離れている。

 同議員懇の金子事務局長は「(渡航費負担と基金だけでは)結果として一時的にマイナスになることもあり得る。問題を改善するのではなく足を引っ張るためのものだ。改善の方向性を見せるべきだ」との考えだ。


ニーズ把握へ実態調査急ぐ

 また、草の根市民レベルで在外被爆者の支援運動を展開している評論家の中島竜美さんは「国が真っ先にやらなければならないのは韓国やブラジル、北米などに散在する約5000人といわれている在外被爆者の実態調査だ。在外被爆者の実状をつかみ、そのニーズにあった支援措置をこそ講じるべきだ。いまは坂口力厚生労働相の政治力に期待したい」と述べた。

(2001.12.19 民団新聞)



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