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広がれ、自治体意思決定への参加




 滋賀県米原町が周辺町村との合併を問う住民投票に永住外国人を加えることになりました。永住外国人を住民として積極的に待遇、住民自治の一角に参画を認めたものであり、私たちはこれを歓迎します。

 米原町は当初、特にテーマを定めない「常設型」を目指していました。これは町議会の理解を得られず、目的を合併問題のみに限定したものに修正されました。とはいえ、永住外国人に初めて住民投票の門戸が開かれたことで近い将来の「常設型」実現も夢ではなくなりました。

 住民投票とは原発立地問題やごみ処分場など、地域の生活や環境に関わる問題で住民一人ひとりから意見を聞く制度です。たとえば民生委員になるには「当該市町村の議会の議員の選挙権を有するもの」との厳然たる規定があります。しかし、住民投票に限っては永住外国人を加えるか否かについては地方自治法に根拠となる法律はありません。住民であれば、国籍の違いはあっても誰でも参加できと考えるのが自然ではないでしょうか。


■街づくり、責任分担も

 ところが、これまで永住外国人の参加が実現したことはありません。住民投票条例を制定してきた自治体がおしなべて投票資格者を「選挙人名簿の登録者」などと定め、結果的に永住外国人を排除してきたからです。はなはだしくは、投票資格をわざわざ「日本国民」と限定した岐阜県御嵩町のような例も見られました。

 これは日本社会にいまも根強い自国民中心主義≠示す象徴的事例といえるでしょう。生活者として同じ地域に住み、一緒に暮らし、働き、納税する永住外国人を「仲間」としては認めていないのも同然だからです。もし、自治体の側に「外国人は少数で例外的存在」という誤った認識があったとしたら残念なことです。私たちは歴史的経緯を振りかざして特権的地位を要求しているのではありません。住民としてあたりまえに街づくりに参加し、責任も一緒になって分かち合いたいだけなのです。これは地方参政権を求める心情とも相通じるものがあります。

 日本国憲法92条でいう地方自治の本旨とは、住民の参加による地方自治と解釈するのが一般的だといわれています。自治体には、外国人市民が住民自治の担い手であることをあらためて認識し、外国人市民を自治に対する権利主体として明確に位置づけることをあらためて要求したいと思います。


■地方参政権の踏み台に

 鳥取県では県知事の諮問機関を構成する「日野郡民会議」の委員を住民投票で選ぶにあたり、永住外国人に投票資格はもとより立候補資格も付与する方向で準備が進んでいます。私たちはこれらの取り組みがさらに広がり、地方参政権付与へのステップとなっていくことを願ってやみません。

(2002.02.06 民団新聞)



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